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Borderline
まずは、一歩3

一切表情を変えない幸村。

少し、目を細めた。



「ゆっくりでいいから、心を開いてくれると嬉しいよ」

「…何の話?」

「それは、雲雀さんがよーくわかっていることだと思うよ?」




ふわり、笑っている。

この人はコワイ。


私の引いた境界線に気づいてる。






不思議な感覚。


本当に、何でかわからない。

話すのが、苦ではない。





「……」


「1人でマネージャーをするのは大変だろうけど…よろしくね」



こくん



「俺には、なかなか慣れない?」

「……」

「君はあまり読めなくて困るな」

「私は。」

「…ん?」

「あまり、人を信用できない…。だから、深く、関わりたくないと思ってる。」

「うん」

「でも、あなたと話していると…安心、する。」

「ありがとう。
たまに、話したいと思ったら、来てくれると嬉しい」

「気が向いたら。」

「もう、雲雀さんはテニス部の仲間だよ。
あんな奴らだけど、皆いい人だから安心していいんだよ。」




ふんわり笑って、私の頭を撫でた。

目を閉じて、下を向く。




「何か困ったことがあったら遠慮なく言ってね」

「…平気」

「ふふっ、心強いよ。

そろそろ戻ろうか」





部室を出て、コートに向かうと、走り終わっている3人がいた。




――皆良い人だから安心していいんだよ――






幸村はそう言っていた。

すぐに、境界線を外すことはできない。

安心できない。





「遅かったのぅ…ずっと話とったんか?」

「仁王。すぐに練習に戻って。これ位のことで疲れたとか言わせないよ?」





だけど







「雲雀ー俺のドリンクどこ?」







少しずつでも






「朔弥せんぱーい!」


「赤也元気だね、俺が練習の相手になってあげようか?」


「ちょ、勘弁ッスよ!ぶちょー!!」


「じゃあ、仕事よろしくね」






ツナや隼人たちのような関係になっても。



この人たちなら、いいと思う。






「……うん」





「!…フフフ」

「!!先輩…!」

「雲雀…!」

「「「!!」」」

「ほぅ…雲雀が笑っちょる…」

「貴重なデータだな」



「雲雀!男の前で笑うなって木下達が言ってただろぃ!?俺が殺される!!」



「……?」




「朔弥先輩はやっぱ笑った方が可愛いっす!」







抱きつこうと、こっちに飛んでくる赤也。

サッと避けて、その先にいた真田に激突した。






「たるんどるぞ!赤也あぁぁ!!」

「覚悟はいいかな?」




「ちょ、勘弁ですってば……っぎゃああぁぁぁあぁぁ!!!!」




赤也の悲鳴が、響きわたった。







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090311



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