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Borderline
柳生という男







静かに









そして確実に










朔弥は引き込まれていく。

















それは、本人にとっていいことなのか。













それとも不幸なことなのか。














それは誰にもわからない。















  〜柳生という人〜








現在5時。


学校に行くのは8時。


そんなに遠くないし、歩いていける距離にある。

パソコンをひらいてメールやらいろいろ確認した。



新着は3件。






「……」





キノから依頼のものが一件。
エルマーから一件
ディーノから一件



キノから順にメッセージを開いて確認する。



日本でできそうな依頼はない。

全て断るようにメールを送った。




エルマーからは新しい環境に慣れたかどうかのメール。

昔より、少しだけ信用し始めた…。


嬉しいって泣いてたっけ。





「(私にとって、アルヴィスが全て…)」





だから、リング争奪戦の後からゆっくりだけど心を開くようになったって言われた。






最後にディーノからのメール。

ピクリと、手が止まってしまった。







――来週日本に行く。会いに行くからな――







イタリア語で、そう書かれていた。


詳細が決まったら言うように書いて、突然来たら2度と口を利かないと付け足しておいた。












「ねぇ見て見て朔弥!クッキー作ったのー!!」

「……」

「また作ったの?こりないわねぇ…」





休み時間、里緒と優希の2人は私の所に来て話し始める。

何も、私の所に来てまで話さなくてもいいと思うんだけど…。






「雲雀さん」






誰かに呼ばれて、ドアの方を見る。

図書館でよく会う、柳生っていう人だ。



教室の女子達が騒ぐ。

煩くて仕方がない。

里緒と優希に後押しされて、仕方なく行った。





「少し、よろしいですか?」

「……何」



「先日、少し驚いてしまって…折角届けに来てくださったのにお礼も言わず、失礼しました。」

「別に。2人がいなかったら柳生って言う人があなただって知らなかった。」






あの日、たまに図書館で会うこの人が、柳生という名前だと知った。







「そう言えば、名乗っていませんでしたね。失礼しました。
私は柳生比呂士です。よろしくお願いします、雲雀朔弥さん」

「……」






どうして、私の名前を知っているのだろうか…。






「あ、すみません。仁王君があなたと同じクラスと聞いて、名前は彼から聞きました。」

「…そう」





仁王って、私の隣に座っている人…だった気がする。

チラチラたまに見てきて、鬱陶しいけど。






「また何か機会がありましたらお話しましょうね」

「……」

「それでは、失礼します」

「ん」






少し頭を下げてから帰っていく柳生。

私も席に戻ろうと踵を返したとき、仁王と目が合った。

別に、気にすることじゃないけど…






「朔弥ー!柳生君なんだって??」

「ありがとうって。」

「さっすが紳士〜♪」

「そう言うところってしっかりしてるよね、柳生って」







優希が去っていった柳生の場所を見ながら呟いた。

里緒も、頷いている。

仁王は、私を見たまま視線を外そうとしてくれない。





溜息。






「……なに?」






眉を顰めて仁王の方を向く。

初めて、仁王に声をかけた。

仁王は口端を持ち上げて、ゆっくりと口を開く。





「何でもなか」





視線を外して、外を見始める。

変な、男だ。







NEXT...
090301
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図書館の人は柳生さん。っていうことを言いたかったんですが。
すみません、文章ガタガタ…



あきゅろす。
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