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麗那side




「なんなの、これ…」


着いた瞬間、に突風に襲われ、強く目を閉じた。
ゆっくりと目を開ければ、ウルキオラの前に立っている男は死神の恰好をしていながらも仮面をかぶり、胸には孔がぽっかりと空いている。
人とは思えない呻き声をあげる彼は誰なのか。

麗那の頭の中をフル回転させて考える。
視線を辺りに見回せば井上織姫、石田雨竜、そしてフォルセティアが2人の戦闘を苦しげに見ていて。


「麗那様!」

「フォルセ、ティア…誰?あれは、、、誰なの?」

「黒崎、一護です」



信じられない、わけがない。
この霊圧は確かに黒崎一護のもの。
ただ、そう思いたくなかったのも事実。


「なんで、ウルキオラが押されているの…っ!?」



カタカタと震えながらもフォルセティアに問うものの、その答えは返って来ない。
刹那、ザシュ、と肉を切るような音に目を丸くして一護の方に顔を向けた。

声も出す暇もなしにウルキオラは地面へ叩かれて足で踏まれる。
勝負はついた。だから、一護はこれ以上なにもしない。そう、いつもの一護ならば・の話である。
今はもう、いつもの一護ではないことなんて、わかりきっている。だから、身体が自然に動いてしまうのだ。


助けなくちゃ。



「麗那様!近づいてはいけません!」

「離しなさいフォルセティア。ウルキオラが…ぅ…ッ」


傷が治っていない。

腹部を抑え、痛みにこらえながら2人を見れば、一護がウルキオラに虚閃を向けて、放った。


「…っ!きゃああ!」

「麗那様!」



吹き飛ばされた麗那をフォルセティアは必死に手を伸ばして腕の中に閉じ込めた。
お陰でそう遠くまで飛ばされなかったものの、2人からは少し遠ざかってしまった。

クソ、なんて女の子らしくない舌打ちをして2人の姿を探すが、先程いた場所に姿はない。
目を配らせて探してみれば、上空に一護が立ち、片手には下半身が既にない状態のウルキオラがあった。



「ウルキオラ!!」



無情で非情なものとなってしまった一護は動かなくなったウルキオラを壊れたおもちゃのように放り捨てるとソニードで傍らに降り立ち、刀の先をウルキオラに向けた。
もう勝負などついているにも関わらず。
それは、破面とやり方は一切変わっていなかった。

フォルセティアの腕の中から離れ、麗那は必死に叫びながら彼の元へと走った。


「ウルキオラ!ウルキオラ!!」

「もういい…黒崎」




止めに入る石田の言葉すら耳に入って来ないらしい。
どれだけ一護に声をかけても刀をおろすことはない。

ウルキオラの頭を優しく撫でて抱きしめる麗那を煩わしいもののように蹴り飛ばし、ウルキオラをひきはがすと



「黒崎!!」



そう叫んだ石田に思いきり刀を振るい、そのままの勢いで飛ばした。
ぐったりとしている麗那の元へフォルセティアは急ぎ抱えるが、一護の狙いはウルキオラから石田へとかわり、虚閃を向けた。


「だめよ、一護…貴方の…仲間、でしょう…っ」

「……」

「一護!!!!!」



一瞬だった。



動けるはずもないウルキオラが無理矢理身体を動かして一護の虚閃の軌道を変えた。




「うるきお、ら…」

「…はぁ、はぁ…、麗那…」

「ウルキオラ!!」



フラフラな状態のウルキオラを走って支えると、片腕しかない腕で麗那の背を優しく撫でた。
すまない。そう言っているようにも聞こえる。

これ以上戦ってはいけない。

そう本能が、警報が煩く鳴っている。

それを彼はゆるしてくれなかった。黒崎一護……。




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