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兄妹シリーズ
バカエルの憂鬱(フラン)




僕にはへんなかぶり物をしている馬鹿兄がいる。
良い歳こいてなんかかぶってて…正直ダサい。



「僕の方が似合うのに…」

「どうかしましたか?妃奈」



腰をかがめて僕の顔を覗いてくる人。

六道骸。

僕とバカエルの師匠−−…



「熱…はないですね」



僕の額に手をあてて熱を測ってくれる。

ああ
大好きだよ、師匠。

第一人称が“僕”なのも師匠の真似。
バカエルと昔一緒に“ミー”とか言ったり、かぶり物してたけど今はしない。
バカエルと一緒なんて嫌だし。


「平気ですよー。なんとかは風邪ひかないっていいますしー」

「僕は馬鹿じゃない!!」

「煩いですねー、ミーは何もバカだなんて言ってないですー。」


ああああ本当に馬鹿兄はうるさいよ!!
僕が師匠の髪型をまねしようと頑張って髪伸ばしているのに「長い髪はウザイ」とか言うし。

もう知らない!!


「喧嘩はいけませんよフラン、妃奈」

「…ごめんなさい師匠」
「………」


ぎゅう、抱きしめて言えば独特の笑い方で僕の頭を撫でてくれた。



「フラン、少しは正直に言わないと本当に嫌われてしまいますよ?」

「ミーはいつだって正直ものですー」



やるせない顔で視線を僕から外した。
あああ、むかつく!!

頬を膨らませていたら師匠がバカエルに先にヴァリアーへ帰るように言うと、僕を近くのソファーに座らせてくれた。
なんだろう、何か話かな。

じーっと師匠を見ていたら目が合って、苦笑された。
あれ?僕、苦笑されるようなことしたかな。

うーん…してないと思うけど、発言はしたかも。バカエルに。


「妃奈」

「はい師匠」

「フランのことですが」


えええ。


「そう厭な顔しない」

「う…はい」


顔に出ちゃってたか。
あーあ、師匠に笑われちゃった。


「フランは妃奈に構って欲しいんですよ」

「……」

「クフフ、顔、すごいことになってますよ。」

「だって…」

「あんだけフランの後ろをついて歩いていた妃奈が兄離れしてしまったから、さみしいんですよ」


うっわ、キモイよバカエル。

どこまで私をガキ扱いする気だよー
あのかぶり物だって邪魔だし重いしで任務に支障があったらボスのコォオオ!!が来るからやめたのに。


「妹離れしてほしいですー」

「クフフ、毒を吐いても妹が可愛くて仕方がないんですよ、フランは。」



ゾッコンですからね。
って続けた。

え、バカエルがゾッコン?うそだあ。



「顔には出ていませんが、目で追っていますよ?気づきませんでしたか?」


そ、なのか?
知らないよ、バカエルのそんな視線ストーカー


「その様子では知らなかったようですね。もう少しその辺の修行も必要ですかね。」

「は!?」

「フランの熱視線に気付かないなんて僕の弟子では許しませんからね」



あああ、地獄が始まる…。




バカエルの憂鬱

(ししし、やっとカエルが戻ってきた)
(堕王子シネ)
(うっわ、機嫌悪っ)
(妃奈チャンにまた振られたのよ、きっと)


END...
100312




あきゅろす。
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