兄妹シリーズ
それはきっと、君のせいだよ(雲雀)
「雲雀さん雲雀さん」
応接室に来た草食動物兼ボス…沢田綱吉は僕の隣に座って裾を引っ張ってくる。
その前に、僕が沢田綱吉の立ち入りを許可したのはきちんと理由がある。
リング争奪戦なんて変なのが行われたとき、学校ぐっちゃぐちゃになった。
終わるまでかみ殺さなかったこと、本当にほめてほしいところだよ。
ボンゴレに学校の修復費をもらい、きちんと元通りになるまで沢田綱吉は僕の好きな時間に好きな場所で好きなように戦うこと。
赤ん坊の許可ももらったしね、遠慮はなし。
でも、入り浸るなんて許可したつもりはないんだけど?
「聞いてます?」
「はあ……なに」
「雲雀さんって、いっつもトンファー持ってますよね。ディーノさんに指導してもらう前、誰かに教わってたんですか?」
「なんでそんな事きいてくるわけ?」
「だって、雲雀さん強いし、俺とやっててもなんか独自で身に付いたような気がしなくて。」
なんなの、この子。
黙ってたらめがあって、誤られた。
なんで謝るわけ?本当に僕とやりあっている時と全然雰囲気違うよね。
「それって、ボンゴレの血?赤ん坊の言ってた、超直感ってやつかい?」
「え?あー…うーん…俺もよく、わからないんですけど。」
「ふーん。まあ、良いけど。3歳のときに僕は兄から教わったよ」
「ええ!?雲雀さんにお兄さんいたんですか!?」
「誰もいないなんて言ってないけど。」
それもそうですけどーーーー!!!って煩く叫んでいる綱吉をため息零しながら見ていたらドアが思いきりあいた。
トンファーを手に持って入口に投げつけた。草壁はいきなりあけるなんてことはしないだろうけど、僕の許可なしにいきなり開けるなんて許せない。
『甘いね』
クスッと笑いながら流暢なイタリア語が聞こえてきた。
案の定、僕のトンファーを避けることなく素手でつかんでいる。
むかっとしたけど、入ってきた人物を見て目を見開いた。
だって…
「ただいま、恭弥」
「いつも突然だね、潤兄さん」
「ひ、雲雀さんが二人ぃぃいい!?」
潤兄さんを指さして言う沢田綱吉。
ああ、噛み殺そうか。そう思った時、潤兄さんは妖艶に笑いながらこうつぶやいた。
「はじめまして、ボンゴレ10代目。僕は雲雀潤……キャッバローネで世話になっているよ。君とは色々話したいんだけど…恭弥と2人きりにしてくれない?」
「え、はい」
そそくさと応接室を出ていく沢田綱吉。ドアが最後までしまる音が聞こえてから潤兄さんの方を向いた。
前髪が…短い。
「ボスから聞いたよ。リング争奪戦、お疲れ」
「……ムカツク」
「へえ、なんで?」
「なんで、来なかったわけ?ディーノに言われて…頑張ったんだけど。」
めちゃくちゃだったけど。やる気もなかったし、リングなんていらない。そういったときに言われた。
「潤、もしかしたら見に来るかもしんねーぜ?」って言われたから。だから、頑張ったのにいないし、来ないし。
「仕方ないでしょ、僕だって忙しいんだ」
「……」
「わがままなのは嫌いだ。……と、言いたいところだが。」
冷たい声が降りかかってきて、顔を上げられない。
でも、後半はガラリと変わって優しい。俯いてしまいがちだった僕は、潤兄さんを見上げようとしたら黒がぼんやりと視界の半分を支配した。
潤兄さんの髪だ・って気づくのも遅くない。
「逢いたかったよ、恭弥」
立ち尽くしてしまった僕は漸く理解した。潤兄さんに抱きしめられている・と。
こうやって抱きしめられるの何年振りだろう、なんて頭の隅で考えながら瞼をおろして腕を潤兄さんの背に回した。
顔に熱が集まっていく。やばいな、顔が赤いに決まっている。
絶対に見られたくない……。
「なんだい急に。恭弥、久し振りだから甘えたい症候群か?」
それはきっと、キミのせいだよ
(ねえ恭弥、ただいま)
(…それさっきも聞いたよ)
(うん。でも恭弥からおかえりって聞いてない)
(………おかえり)
(ちゃんと顔を見て言いなよ、昔そう教えたでしょ)
(おかえり)
(ああ、ただいま恭弥。顔が真っ赤だ)
END...
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