兄妹シリーズ
お兄ちゃんとお茶会(幸村)
俺には5歳の妹がいる。
「おにいちゃん」
正直、いじめたくなるほどカワイイ。
歪んでるなんて思わないことだよ?
本当に純でさ、普通にかわいがるだけじゃ物足りないんだ。
満面の笑みで俺に近寄ってくる妃奈に返事をしてやると、顔を明るくするんだ。
「どうかしたの?」
「のどがカラカラであります」
立ち止まって、俺に敬礼した。
…ああ、●ロロ軍曹のまねかな?
カエルのやつ。あれ?カエルだっけ。
「オレンジジュースとリンゴジュース、麦茶があるけど、どうしますか軍曹」
「オレンジジュースがいいでありますっ」
やさしい俺はちゃんとそれに乗ってあげる。
嬉しそうに、尻尾を振って喜んでいるように思える。
「では、手を洗ってきてください」
元気よく返事をしてパタパタとリビングを出て行った。
友達と遊んできただろうからね、ちゃんと手を洗わせないと。
コップにジュースを注いでいると妃奈が戻ってきた。
「あのね、おにいちゃん!今日ね、ライライと遊んだの!」
「楽しかった?」
「うん!」
妃奈の言うライライとは丸井の3人目の弟、雷太君だ。
よく話の中に出てくる。本当に仲がいいよね。
椅子に座った妃奈の前にストローのささっているオレンジジュースを出してあげた。
ファミレス行ったときになんか面白そうだから1つもらってきたんだけど。
俺はコーヒー。ジュースは妃奈のためだけにあるから絶対に飲まない。
「わあ、ストローついてる!しかもノッポさんだね」
「ふふ、そうだね」
両手でコップを持ってストローに口をつけた。
「……?」
「どうしたの?」
「のめない…」
「ああ、妃奈にはまだ長いストローは無理だったのかな?これじゃあ俺みたいなテニスプレーヤーにはなれないなー」
妃奈は将来俺みたいにテニスで一番になると言っていた。
だからかも知れない。からかう楽しさもまた増えた。
必死にストローで飲もうとする妃奈。
あああ、カワイイっ!
ストローにちょっとだけ穴を開けたから飲めるはずないんだけどね。
「はふっ、」
「ストローやめる?」
そう言っても聞かなくて、もう一回やり始めた。
必死になっている妃奈、もう超かわいい!
「うー…」
「そう言えば妃奈、今日雷太君とどんな遊びしたんだい?」
「いっぱいー。…あ!あのね、ライライとバイバイするときにね」
「うんうん」
「しょうらい、けっこんしようねって言われたのー」
「………」
な ん だ と !?
「……?おにいちゃん?」
「…ねえ妃奈、絶対にうんって言っちゃだめだよ?」
「んう?」
「約束。あ、また言われたら教えてね(シバくからさ)」
「はーい」
お兄ちゃんとお茶会
(丸井。)
(どうしたんだよぃ)
(雷太君が俺の大事な大事な妹に「結婚しよう」なんて言いやがったそうじゃないか)
(はあ!?そんなこと…って、なんで幸村君必死!?子供の口約束だろぃ?)
(ちゃんと躾しておいてくれないと困るなぁ。次そんなことあったら、手が滑って五感奪っちゃうかも☆)
(ゆ、幸村君、大人げない)
(え、何か文句でも?)
(イエ、アリマセン)
END...
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