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そして君はサヨナラと言った
僕が知る君はA







話は数時間前にさかのぼる。

パーティが面倒で、それよりも誰かとあまり時間を共有したくなくて、僕は一足先にイタリアへ飛んでいた。
全ては、綱吉を探す為に…。

色々調べていたら時間が足りなくなって…睡眠時間を削ってでも仕事と同時進行で綱吉を探した。

だから、パーティ会場ではすぐに外へ出て、誰にも邪魔されない屋根に避難して目を閉じた。
眠いしね。



『…ぃじゃな、リボーン』



ああ、よくも睡眠の邪魔をしてくれたね?赤ん坊。

顔を出してトンファーでも投げつけてやろうかと思った。
身体を起こそうとした時に、聞こえた言葉に全ての動作がストップする。


『相変わらずのようだな、仁王。…で、本当にこの女がツナなのか?』

(!…綱吉?)

『そうじゃよ。…綱吉、安心しんしゃい。悪い人じゃないぜよ、自己紹介、できるか?』

『どういうことだ』

『その殺気、仕舞ってくれんかのう。怯えてるじゃろ』

『なんでツナが俺に自己紹介しなきゃならないんだ!』

『そう吠えなさんな。怯えてる言うてるじゃろ』

『答えろ仁王』

『初めて会う人に挨拶するのは礼儀だろう、リボーン』

『!……柳か』



まさかとは思った。
赤ん坊は綱吉の行方を知っていたなんて。

僕が探していることも知っていて、何故黙っていた?
ああ、イライラする…。



『答えろ、仁王。お前は、こいつがお前らの家族になったことを言いたいのか?』

『まあ、それもそうじゃな』

『…さっきは驚かせてすまない、アルコバレーノのリボーンだ、よろしくな』

『さ、わだ…綱吉、です。よろしくお願いします、リボーンさん』



ひどく怯えたような声。


赤ん坊には痛いかもしれないね。
でも僕には関係ないね。


漸く見つけたよ…綱吉。

僕は、君をこのままにさせておくつもりはないからね。



ゆっくりと立ち上がり、屋根の上から綱吉を見下ろす。


女の恰好、しているのか。

まあ、その姿を見ていると君が“沢田綱吉”だなんて誰も思わないだろうね。

でも聞いてしまったんだよ、綱吉。


僕は君を見つけた。


後は、君のところに行くだけだよ。

つい笑みを浮かべてしまう。



ふと、綱吉が僕を見た。

ああ…そんなに視線が気になった?

いや。気配は完全に消しているし、僕に気付かず赤ん坊たちはつらつら話をしている。



いつから敏感になったんだい?

いや、違うか。




君は、いつから"草食動物"になってしまったんだい?




ねえ、沢田綱吉。


微かに目を細めれば、それに気付いたのかビクリと肩を震わせて僕から逃げて行った。

逃げるのは昔から変わらないようだね。


暗やみに溶けていく綱吉を見ながら、僕はレジェンドの事を考えながらその夜を過ごした。

これほど心が躍る日なんて久しぶりじゃないか。




「クスッ」



綱吉、近々会いに行ってあげるよ、この僕が、直々に。

また君は昔に戻って僕から逃げるのかな。

それとも笑ってくれるのかい?







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101024


あきゅろす。
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