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そして君はサヨナラと言った
訪問者B



六道骸が守護者を抜けて穴ができたから…?いや、それだけではなさそうだ。

こうやって雲雀さんが来るということにも、何か理由があってのことだろうし。

ただ単に“風紀を乱した”ことに対して、所在を掴むだけで大人しく引き下がる人ではないはず。

でも、俺がそれを聞いても答えてくれないだろうね、君は。


ここは詳しく調べる必要がありそうだ。

仁王にでも潜らせるか?ここは、柳生?2人のほうが良いかもしれないけど、危険は増す。



「そう言えば。」

「!…なんだい」

「来たんでしょ?六道骸」

「ああ。ボンゴレを抜けた・と言っていたよ」

「やっぱりね。




……さて、僕はそろそろ行くよ。」


「そう」


ソファーから立ち上がり、腰に手を当てると幸村の方を向く。
ほほ笑む俺を見て踵を返すといきなり鳴り響いた携帯電話。

ポケットから取り出した携帯を開いて相手も確認せずに耳に当てる。



「僕だよ」


携帯の先から聞こえる声に少なくとも眉間にしわを寄せた。
俺に背を向けているためにその顔色をうかがえないけど、その後ろ姿…すごくわかりやすいよ。


「……何故君に逐一報告しないといけないんだい?どこに行こうが僕の自由だ」

「煩いよ。これ以上言うならかみ殺す」



怒りを孕んだ声で言うと、そのまま携帯を閉じて強制終了。
はた、と思い出して声をあげた。
ゆっくりと振り向く雲雀さんはひとつ間をおいて。


「何」



それだけ言う彼に、笑みがこぼれおちた。

本当に兄妹似ている・と。



「用がないなら、僕は行くるけど」

「ああ、ごめんごめん。少し、聞きたいんだけどさ」



一瞬にして空気を変える俺に、雲雀さんは身体を向けて目を鋭くさせた。
裏で仕事しているせいもあるんだろうか…。



「綱吉君が消息を絶つ時、何があったか教えてほしいんだけど」

「そんなの、自分で調べなよ。それか朔弥に聞くことだね」

「勘違いしないでくれるかい?俺はあの事件を“知る人”の情報じゃない。“当事者”の情報だよ」



あくまでボンゴレが中心となって起こった事件だ。
朔弥たちは確かにボンゴレでもあるが、当事者ではない。

あの場にいた、事件を自分の目で見ている者が知る情報が欲しいだけ。


雲雀さんは微かに目を細めて、何を考えているんだろうか。




「今度、哲に書類を持たせるよ。報酬はきっちりもらうからね」

「わかった」




これで、当時のことが明確になってくる。

当事者以外の情報ならもう知り尽くしているだろう。

しかし、当事者であるボンゴレに聞くことなんてできない。彼らは綱吉のことどう思っているのか、胸の内までわかりはしない。
だからこそ、雲雀恭弥が今日この場に来たことはチャンスだと踏んだ。




「ねえ、綱吉に会わせなよ」

「…それは、できるだけ避けたい」

「………」


ああ、怒ってるね…

まあ当然か。拒否されるなんて思ってなかっただろうし。

雲雀さんが綱吉君に何かした、というのは今の所ないみたいだし、会わせてあげたいんだけどね。
あの日から何が引き金になっているのかわかってないし、出来るだけ混乱は避けたい。


「綱吉、あんまり良くないんでしょ。僕と接触して反応をみるのも、またひとつだよ。ただ大事にしているだけじゃ、なにも進まない。君もわかっているんじゃないのかい?」


もちろん、わかっているさ。




パタン、閉まったドアにひとつ間をおいてため息をついた。



(綱吉君……っ)




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101003


あきゅろす。
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