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そして君はサヨナラと言った
白い闇D






あの女性の後を追っていた骸は、綱吉を探している仁王に行く手を阻まれていた。
もしかしたらあの女性は変装している綱吉かもしれない。そう思うと居ても立っても居られなかった。


「仁王雅治…答えなさい、あの女性は誰ですか」

「答える義理なんてないぜよ」


ゆっくりと目を細めて骸を見据える。
仁王は骸も綱吉を探していることを知っている。しかも誰よりも必死だ。

でも、教えることなんてしない。



「なあ、骸」

「……なんですか」

「綱吉は、なんで居なくならないと…いけなかったんじゃ?」


誰より優しくて、誰よりもファミリーを思っている彼が、何故……?
自分たちも含めて、何故助けることができなかったのか。

骸は苛立ちから目を細め、低い声で仁王に問う。


「僕に聞かないでください。むしろ、僕が知りたいくらいです。」

「綱吉は愛されとった。なのに、嵌められて、信頼している仲間に裏切られて…それでも反抗できるその腕でそれをしなかったんじゃろう…」

「………」

「いまさら、だと思わんか?綱吉は、帰ってこないんじゃよ?墓まで作って、なんの懺悔のつもりぜよ」

「僕が墓を提案したわけでもありませんし、作ったわけでもありませんからね。そんなことわかりませんよ」


拳を作り、震わせている骸と目を合わせる気すらない。
仁王はポケットから鳴り響く着信音にゆっくりと手を伸ばす。
ディスプレイには柳生の文字が並んでいて。出ようとしたら切られてしまった。


「それに、綱吉君は生きている。…違いますか?」

「さあ…知らんな」

「あの女性が綱吉君、なんでしょう?声を聞いて確信しました」


骸の言葉を聞きながら、ディスプレイを見ていると次はメールが届いた。
そこには、綱吉を見つけた。ということと、先に屋敷に戻るとのことだった。

具合が悪くなった、と最後に書かれていて。
微かに眉を寄せてから携帯をポケットにしまう。



「骸…お前さんがどれだけ綱吉を大切にしているのか、わかっているつもりじゃ。けど…そう決めつけるのはどうかと思うぜよ」

「……では、これだけ教えてください。あの女性は、綱吉君ですね?」



仁王はゆっくりと目を閉じ、ひと呼吸してから開き、強い目で骸を見据えた。
骸は真意を問う目で、何かに利用するようなやつではない。ということが見て取れる。



「ハズレじゃ。知っているじゃろ、綱吉はもう居らん。」

「…質問を変えます。あの女性は…レジェンドと共に来たあの女性は、沢田綱吉、ですね?」


それは、骸の中に存在している“綱吉君”ではなく、また別で“沢田綱吉”という一人の人物を表す。
仁王は幸村から託っていることを思い出して。



「もし、そうだとしたら………会いたいんか?」

「もちろんですよ。貴方が拒否しても会いに行くつもりですから」

「絶望するぜよ」

「そんなもの、何度も経験してますよ。」



揺るがない決心。
仁王は目を細め、骸を数秒間じっと見た。

本当にこの男は大丈夫なのだろうか。
昔、よく話をしたものだが、今のボンゴレとはほとんど交流もなければ隠しごとまでできている。
ましてや、綱吉の捜索も依頼を受けているのだ。そう簡単に信頼などできなくなっているのが本心。


「…20分後、裏側の駐車場で待ってるぜよ。くれぐれも、レジェンドの処に行くなんて言わんようにな…」

「わかってますよ。では、20分後…」




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あきゅろす。
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