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そして君はサヨナラと言った
白い闇C



白石の様子が変。

柳生と話してるときの表情は穏やかそのもの。だったはず。



柳生が電話に出たときや、白石の表情に変化が出たんは。


話をしている最中やし、抜け出す事が出来へん。


目の前の女性に微笑んでおきながら、視界に入っている2人を気にしては、いる。

動き出した2人は確認のように目をいろんな所に配らせながらも向かった先はテラス。



何が、起こってるんや?






「忍足様?」

「!…どうか、しましたか?」




アカン。
いくら気になるからって…。



白石の様子がおかしいんは今回の、今だけやない。

レジェンドに会う前…邸に居るときも、俺が部屋に入り、声をかけるまで気づかへんかった。


何時もならばノックする前に気付かれるのに。

考え事も、はぐらかされた。


せやけど、綱吉のあの状況で悩んでいたなら頷ける。


俺たちに言わなかったのも、何か理由があったんとちゃうんか?




俺も気にしすぎかもしれへん。

こうやって話しているのに、頭の中では白石や綱吉のことばかりや。




女性は口元に手を持っていき、小さく笑っている。

俺も苦笑するしかない。




「忍足様、本当に分かりやすい方ですわ。」



柔らかい笑みを浮かべて俺の腕の辺りに触れ、こう言った。




「気になることがあるのでしょう?私(ワタクシ)はお色直ししたいですし、ね?」

「…すまんなあ。せめて途中まで…」

「私は大丈夫ですわ、気にして下さって感謝いたします、優しい忍足様」




一礼して俺から離れていく。

彼女の背を目で追ったら、すぐに誰かに話し掛けられていて、断っているのが見える。



そしたら別の男…確かどっかのボスが腰に手を回していたが、にこやかにそれを受け入れてパーティー会場から去っていった。




「謙也」

「ユウジか」

「あの人と話しとったんか」

「初めて見る人やったけど。」


「そんなはずはないなあ…」


「は?」

「…ま、それは後でええ。白石追うで」



ユウジの言葉に一つ頷いて共にテラスへ向かった。




華やかな会場に比べて暗く、闇に溶かされたような外で白石を捜し出し、聞くのは時間がかかる。



携帯を取り出して連絡を取ってみる。



『謙也か。』

「おん。何をしてるん?手伝うで。ユウジも居るし」

『助かるわ。オレ達の大切な子を捜して欲しいんやけど』



頼む。

それだけ言うと切れた電話。俺は携帯をとじてユウジに視線を向ける。




「あの子を捜してくれへん?」




案の定、目を丸くしたが、力強く頷くとテラスから外へと移動して誰にも見られそうにもない場所でリングに炎を灯した。




「小春以外の為に、体力使いたないんやけど。」




文句を言いながら、小さな人形をポケットから出してバラバラと地面に撒いた。

ユウジはぶつぶつ何かを言うと人形だったそれは幻術でネズミへと変わった。





「捜せ」





低い声で地面に待機しているネズミに言えば、一斉に散った。


ほんま、便利な力やな。


ユウジは壁に寄りかかり、目を瞑ったまま。


ネズミの目を通して見ているから、精神的にも集中せんとアカンやって。



さっきチラッとネズミの数を確認したが、軽く50はいってたで?




数十分、ユウジは黙って探していた。


「見つけた。あ、こっちも。…柳生、待ちぃ。この方向に走れや。…おん、急げや。あんま状況が良くない」




スッと目を開けると、ユウジは俺を見てからしゃがみこんだ。

相当疲れたんやろ。
深呼吸を繰り返すユウジは暗い闇を見ながら呟いた。


「小春と…誰やっけ。レジェンドの晴れ…あ、丸井を呼べ。あと、休憩、させてくれへん?つかれ、た」




ぐったりしているユウジにお疲れ様の一言をかけて、白石に連絡を入れた。



白石がレジェンドの幸村に連絡を入れて、守護者に連絡がいく。

あとは、2人が決めるやろ。




「謙也さん」

「光」

「ユウジさん、何へばってるんです?」

「光、あの子がどっか行ってしもてな…ユウジが見つけてくれたんや。あんま状況が良くないらしい。」



状況が良くない。

その言葉に光がピクリと反応した。
そらそうやろな…




「柳生と共にまだ1匹だけ動かしとる。此処に連れてきてくれるはずや」



ユウジの視線は暗闇の中。

まだ柳生は綱吉の所に着かないんやろか。気持ちだけ焦ってしゃーないなぁ…。

光も光でいそいそしまくりや。




綱吉…どうか無事で。





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