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そして君はサヨナラと言った
君の声C






今日はイタリアのパーティの日。

ボンゴレ、も出るんだよ、ね…?

どうしよう、怖い。
マサとか精市君もいるし、光もいてくれるって言ってたし…大丈夫、だよね。


「ツナ」

「!…光、どうしたの?」

「着替えの時間。仁王が変装の準備するって言うとったで」

「もう、そんな時間…」



どうしよう。
なんでボンゴレが怖いのかわからない。
けど、すごく嫌な感じがするのはわかる。

光が俺の手を握ってくれている。どうか、この震えがパーティの時までに収まりますように…。

何度も何度も祈った。
ひとつの部屋に通されたけど、その先にはマサ達が居て。

なんかホッとした。



「マサ」

「こっち来んしゃい。着替えるぜよ」

「う、うん」



光から離れてマサのところまで行くとマサに頭を撫でられた。
ああ、落ち着く。


「ツナは立ったまんまでええよ」

「う、うん」


メイクと髪と着替えを同時進行でやってくれて。
なんか薄いピンク色の、長いドレスを着せられた。

なんで?なんて聞く間もなくて。
髪の毛もメイクも、すごくくすぐったい。


着替えも終わったころに、そろそろ行く時間だって誰かが口にしてた。
緊張が走る。




「完璧ですね」

「じゃな」

「んもう!ツナちゃんカ・ワ・イ・イっ」

「浮気か!?小春、浮気か!?」

「先輩らキモイっすわー」


ふと、部屋に設置されている大きな鏡を見つけてそこへ歩いて行った。
足がスースーして、風が入ってくる感じが気持ち悪い。

それでも、鏡に映った俺が着ている服は薄い桃色をしていて、やわらかい色をしている。
髪の毛も長くて、ウェーブ?がかかっていて、女の子が居た。

すう、と手を伸ばして鏡に触れる。

思い出されるのは夢のことばかり。
あの人は結局、昔の俺って言ってたけど…何なんだろう。

俺も知らないことも覚えてえ行ってた。でも、教えてくれないのは…なんで?




「自分やないみたい?」

「……あ、うん。すごいね、これ、俺なんだね…」


光は優しい。
すごく気を使ってくれているし…でも、やっぱり怖くて無理だよ…。
あの人は…昔の俺は、光を知っているのかな。

ねえ、教えて?
俺のこと、教えて?



「ツナ?」

「あ…ひ、かる」

「なん」


首を傾げて聞いてくる光に、つい、夢の話でもしようかと思った。
でも、聞くなら…精市君かな。

精市君といると、なんだか落ち着く。
マサもそうだけど…皆の前で口に出して呼ぶこともできないし。


「精市君たちに、見せてくる」

「ああ、別に行かんでも来ると思うで?」

「俺たちもここで着替えるじゃき、あそこのベッドに座ってちょっと待ってんしゃい」


マサが笑みを浮かべて言うから、小さくうなづいた。
ドレスの裾を持てば少しは楽に歩けるかな、って思って両手を使って裾を少し持ち上げてベッドまで歩いて行った。
この後ずっとこれでいなきゃいけないんだ…ちょっとでも歩けるようにしないとな。


ベッドに腰をおろしてマサを見たらフ、って笑ってくれて、着替えを始めた。

精市君、早く来ないかな…。





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