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そして君はサヨナラと言った
君の声B





今日はとうとう、パーティの日。

俺たちは何が何でもツナを守らなければならない。
昨日、ツナは何故か様子がおかしかった。

うわの空っていうか…記憶を探ろうとしているのか。

屋敷の庭で花を眺めてはぶつぶつ何かを言っていた。


「ツナ」

「!…光、どうしたの?」

「着替えの時間。仁王が変装の準備するって言うとったで」

「もう、そんな時間…」


しょんぼりとしているようにも見えるが、俺は手を差し出してツナの手を握る。
ゆっくりでも、綱吉は俺に気を許してくれているようにも感じる。
昨夜に謙也さんと居った時はビクビクしとったけど、原因は謙也さんってわかってたし。

何も言わずにツナは俺に引っ張られていた。
ずっと。ずっと。

待っていた仁王と柳生、小春とユウジ。
組み合わせはまあ、ダブルスだが、笑わないレジェンドの2人にキモ先輩たちは2人でイチャついているだけ。


「マサ」

「こっち来んしゃい。着替えるぜよ」

「う、うん」


俺の手からスルリと抜けていき、仁王の処へ行ってしまった。

まだ仁王には敵わないか…

そう思いながら、ツナと握っていた手をじっと見つめた。
仁王さんと柳生さんによって着せられる衣装。ユウジ先輩によってヘアスタイル、小春先輩にメイク。
同時進行されているから、ツナは硬直して動けずにいる。

俺は部屋に設置されているソファーに腰をおろしてそれをボーっと眺めていた。




ちょうどパーティに行く時間になってツナの着替えも終わった。


「完璧ですね」

「じゃな」

「んもう!ツナちゃんカ・ワ・イ・イっ」

「浮気か!?小春、浮気か!?」

「先輩らキモイっすわー」


ギャーギャー騒いでいる中、ツナは一人静かに鏡の方へ歩いて行った。
鏡に手を置いてじっと見ている。
まあ、ツナには見えんな、その姿。

知っていればアレやけど。


「自分やないみたい?」

「……あ、うん。すごいね、これ、俺なんだね…」


鏡に指を滑らせて、何か言いたげに口を開いた。
けど、ツナの口からは何も出る言葉はなくて。


「ツナ?」

「あ…ひ、かる」

「なん」

「精市君たちに、見せてくる」

「ああ、別に行かんでも来ると思うで?」

「俺たちもここで着替えるじゃき、あそこのベッドに座ってちょっと待ってんしゃい」


こくん、頷くツナは着替えたドレスを踏んでしまわないように裾を少しだけ持ち上げて、ゆっくりと歩き出した。
服が重いのもあるかもしれないが、その姿は落ち着いた女性を思わせていて、上品な雰囲気を漂わせている。

ベッドの端に腰をおろしたのを確認してから俺は着替えを始めた。




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100424


あきゅろす。
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