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そして君はサヨナラと言った
君の声A

処変わってレジェンドの屋敷。


その一室で休んでいる綱吉はベッドに腰をおろし、ザンザスから受け取った指輪を眺めていた。


ベッドに転がり、掌で転がしていろんな方向からそれを見てみる。
何かのマークが描かれていて、きっと高価なものに違いない。

自分はこんな物をもっていたのか。
でも、見覚えのない指輪を持つのは好まないし、なんだかモヤモヤする。
それでも何かに惹かれているんだろう。


「閉じこもる、か…。何の話だろう……」


指輪に込められている何かに気付くことなく、サイドテーブルの引き出しに指輪をしまおうと起き上った。
でも、なんだか肌身離さず持っていなくちゃいけない気がしてその思考を削除する。


「(なんかすごい指輪だけど、精市君とか知っているかな…)」



とりあえず、仁王からもらったチェーンに指輪を通して首からぶら下げる。
ひんやりとした鉄の冷たさが肌にあたる。
眠りに着くには邪魔だけど、綱吉はその指輪を握りしめて。




独り静かに瞼をおろして眠りについた、その数分後。
眠ったはずなのに自分はどこかに立たされていた。


壁も床も何もない、ただ真っ暗の中に綱吉一人しかいない。

不安になりながらも幸村たちの名前を呼んでみるが、その声は黒と混じるように消えていくだけ。



「みんな…どこ…っ」



一人にしないで。
そう呟き、縮こまった。
脳裏には幸村がいつか、自分に言ってくれた言葉が過る。


「精市、くん…」

《ここには、お前しかいない》

「!だ、誰…?どこに、いるの?」

《お前には見えない……昔のお前、と言ったら信じるか?》

「昔の、俺?…じゃあ俺の知らないことも、知ってるの?」

《ああ》

「あの指輪のことや、夕方来た人たちも…しってるの?」

《………ああ。お前に教える気はないがな》

「ど、どうして…」

《……。明後日のパーティ、ボンゴレに気をつけろ》

「ボ、ボンゴレ…っ」

《そう怯えるな。お前には俺が居る、安心しろ》

「……」

《二度と、苦しませない》



「……え?それ、どういう……」



《おやすみ》



何に苦しんでいたんだろうか。
聞きたいことなのに聞けなくて。
中断させてまで「おやすみ」というとそれ以来何も言ってくることはなかった。




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100416


あきゅろす。
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