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そして君はサヨナラと言った
ビルの地下で



大阪、ビルの地下に集まる数人の影。
久しぶりの招集にうれしさと不安を感じた。

ひとつのテーブルに集まる6つの影は退屈そうにしている。
そんななか、思いきりドアを開けて入って来る一人の人物に全員の視線が注がれた。


「なんの呼び出しなん?」

「召集なんて久しぶりやんなあ!」

「……静かにしい。……ヴァリアーから手紙が届いた」


ヴァリアーという言葉に全員が動きを止めた。
テーブルに置かれた手紙、そしてヴァリアー独特の蝋印。確かに彼らからのものだ。
滅多に連絡がないあのヴァリアーから。個人での連絡は度々あったものの、ヴァリアーという組織での連絡はどれくらい振りだろうか、なんて頭の中で考える。
大抵、面倒くさいことが多い。


「なんて?」

「今度イタリアで開催される大規模なパーティは知ってるやろ。それに参加しろっちゅーことや。ちゃんと、招待状まで入ってる」

「面倒っすわ……しかも、それってボンゴレ出るってきいてますけど?」


髪をいじりながらうつ伏せで言う男はパーティに興味がないようだ。
それに何人かが頷く。ボンゴレのいるパーティと言えば堅苦しいものが多い。正装にマナー。すべての神経を削られる思いだ。
しかも今のボンゴレに興味などない。彼の居ないボンゴレなど自分たちには関係ないらしい。


「…ああ、そういえばレジェンドファミリーに新しい家族が入ったゆーてました」

「家族…?」

「はい。俺達の大切なあの人が、家族になったって。」

「そう、その護衛も含めてらしい。ボンゴレの事件以来やし、護らなアカンねん」

「で、それはいつに?」

「パーティは3日後。明日レジェンドと共にイタリアへ発つ。準備せえ」


「「「はああああ!!?」」」


「文句言わせへんで。起きれへんかったり準備出来へん奴はお留守番。ええな!?」


ブーイングの中、中心にいる男は嬉しさからなのか、なんなのかよくわからないような笑いをし、片手で顔を覆った。
そしてにじみ出てくる殺気にピタリと止んだブーイング。

男の眼は狩りをする肉食獣のような鋭いもので。



「し、白石…?」



怯える赤い髪の男は恐る恐る声をかけた。
それを無視して白石と呼ばれた中心の男は笑うのをやめ、真っすぐ見る。



「金ちゃん、千歳、謙也、財前、小春、ユウジ……会いに行こう、俺達の大切な彼に」

「久し振りやんな、ツナちゃんに会うの」


ふふふっと笑い、頬に手を添える小春。
ユウジが小春に泣きつくのも無視して妄想を繰り広げている。

髪を弄っていた財前は大きなため息を零し、一番に席から離れた。
隣に腰を下ろしていた謙也が続いて立ち上がる。それを横目で見ている白石はドアを開けている財前に声をかけた。


「財前、どこに行くん?」

「話しは終わりでしょう?部屋に戻るんで」

「準備、しときや」



返事なく去っていく財前に呆れながらも自分も立ち上がった。
続いて千歳も白石の隣を歩いて部屋に戻っていく。
千歳は白石の右腕と称されている。肩を並べて歩く2人は部屋の前で別れると白石はすぐさまお風呂へ向かった。





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