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そして君はサヨナラと言った
キミノナミダ A


綱吉の捜索は、ボンゴレ本部はもちろんのこと、ヴァリアーで暇な奴が捜索に出ていた。


『9代目!ツナが…ツナが…!』

『落ち着きなさい、リボーン。綱吉君の捜索を続けて』



ボンゴレ次期ボスが行方不明なんておおっぴらにできず、捜索は一部の人間だけで行われた。
日本で活動している同盟マフィアに捜索の手伝いを頼んでいた。

それが、幸村率いるレジェンドファミリー。
幸村の言葉に動揺したメンバーは綱吉の捜索にあたった。沢田家に行ってもいないし、ここ最近学校に行っていないことが判明して必死に探しまわった。


そんな中、学校では変化が起こっていた。
暴行していたのは綱吉本人ではないということ。

溝端が中心になって動いている獄寺は動揺を隠せずにいた。
雲雀が持ってきた証拠の写真と同時刻、綱吉が別の場所にいる写真。
2つの写真はどれも綱吉だ。暴力を振るっているのも、家で蹲っているのも。

沈黙してしまう獄寺達に対し、溝端は後悔の言葉を口にした。


『京子ちゃんはウソを言っていなかった。でも、それは綱吉君も一緒だったんだね』

『10代目……っ』
『そんな、』

『君たち、綱吉に暴力振るっていたんだって?本人の言い分もちゃんと聞かずに。』

『私…綱吉君来たら謝る。そして真犯人を見つける!』


溝端の言葉に獄寺は同意した。もちろん、山本も。
ただ、雲雀は眉間にしわを寄せてその場を去って行ってしまった。

獄寺を通してリボーンを紹介してもらった溝端は綱吉の家の前まで行き、リボーンと会うと深く頭を下げた。
見つかったら教えてほしいということと、京子を苦しめた人が見つかったら連絡すると言い静かに去っていった。





幸村達が綱吉を探して数日後。
レジェンドの皆が探し回っても見つからず、不安と焦りがこみ上げてくる中、一本の電話がかかってきた。
たまたま、日本に来ていたヴァリアーに発見されたというものだった。

ヴァリアーの一時滞在しているホテルに足を運んだものの、意識を失い、ボロボロの状態で見つかった綱吉の姿に誰もが絶句した。
青白い肌に細くなった身体。頭部には包帯が巻かれて痛々しい。生きているのが不思議だという。
細々しい腕には点滴の針があり、透明な液体が綱吉の体内に入っていく。


『アナタ達が来る前にキレイにしたのよ』


ルッスーリアは悲しそうに眉尻を下げて言った。
血は固まり黒く変色しているのと、ひどく汚れていたから傷口が化膿しないように風呂に入れたと。


意識が戻っていなかったため、大変だったとはいっていたが、このままにしておくのはよくないと判断したためだ。

重い空気が部屋にのしかかる。
そんな中、この場に似合わないほど軽いノック音がして全員の視線がドアに注がれた。
ドアの近くにいたレヴィがザンザスの眼を見てからそっと開ける。

ドアの前に立っているのは諜報員の2人、雲雀朔弥とスペルビ・アルベティアだ。


『ボスに聞いてきましたよ、今後のこと』

『早く言え』



9代目と連絡を取る為にイタリアへ向かっていた2人と、それに同行したリボーン。
上層部だけの機密会議を開き、数時間に及ぶ話し合いで決定したこと。
ザンザスのせかす言葉に朔弥は横目で見てから目を閉じ、そして決心したような目つきで口を開いた。



『本日をもって、沢田綱吉をボンゴレのボスから降ろし養生に専念。』

『な…!マジかよ』

『ボス無きファミリーがあるか。とうとうボケたか、ジジイ』

『現在、候補が上がっています。綱吉の代わりに彼らをまとめている溝端紫乃、彼女が継ぐと言っております』

『しし、意味わかんねえ』

『溝端紫乃は責任がある、とか言っておりまして。』



それを黙って聞いていたレジェンドが眉間に皺を寄せる。


『……納得いかんな。』

『おいちゃんの言うとおりぜよ。ブラッドオブボンゴレ…その血は受け継いでないんじゃろ?』

『……はい。しかし、決定事項です。
話が変わりますが、この件の…真犯人見つけました。ボンゴレに反抗しているミブラファミリーだと。ボス、我々にあそこの殲滅の出動命令が出ました』

『行くぞ』




ザンザスの一言でヴァリアーのメンバーは全員動き、部屋から姿を消した。
数時間後、ミブラファミリーの殲滅が完了し、血まみれの屋敷となっていたこと知るのは、ほんの一部。



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