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Dear you...
2
皆は無事だろうか…
朔弥は兄たちの無事を願いながら、言われていた場所へと足を向けた。
闇の力は浸食だと、スクアーロが教えてくれた。
朔弥の場合、雲である恭弥と兄妹というのもあり、同じ雲属性でもある。
しかし闇というものは深いもので、誰もがなれるものではない。

何色にも染まらない…それが闇。
例えそれが光であっても、其れさえ飲み込む暗黒。


それが朔弥にあったのだ。
しかし、闇の守護者とはいえ、生涯その役を得られるわけではない。
大空の下に集う天候の守護者。それはこれからもずっと変わりないのだが、闇は消えてしまえば能力を失う。


(私は今でも…これからもあなたに縛られる……そうでしょ、アルヴィス)


ハトの足についている筒をそのままにして空へ飛ばした。
朔弥は遠くへ消えていくハトをぼんやりと眺めて目を細める。

ルイスに指定された場所で、妖しくないとも言えない用件を朔弥に託した。
とある人物と合流してほしい、ということらしい。


(私の闇は、誰にも手は出せない。それが、兄さんでも…)


ハトを飛ばした10分後、リングに炎を灯してボックスを空へ向けて放つ。


「これで…いいんだっけ」


ぼそり、つぶやいた後は空から落ちてくるキツネリス…フィオを見事キャッチして木の根に座って頭を撫でる。
迎えが来ると言っていたが、本当なのだろうか。
誰が来るのかさえ知らされていない。
いや、ルイスも知らないのかもしれない。
罠という可能性も考えて、いつでも動けるような体制を整えておく。

ガサリ、音がしたのはその後30分くらいたった後。
切りそろえられた髪。凪とはまた違った雰囲気を持った女の子が来た。
MMというらしい。


「あんたが朔弥?」
「……」
「ああ、そうね…そのにくったらしい顔…あんただわ。さ、いくわよ。」
「どこに」
「決まってるでしょ?骸ちゃんの所よ」
「骸……?」
「なに驚いてんのよ、あんたが必要なの。10年後のあんただったなら、飛んで行ったわよ」


未来の夫が一大事ってわかればね。
そうつぶやくと歩き出してしまった。

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