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アメリカにいるのも、今日と明日の2日だけになった。
スクアーロに言っておいてよかったと思う。
これで会う約束をしていなかったら、ザンザスが来るに違いなから。
「今日はこのショッピングモール付近で買い物をしてくださいねー」
教師の声が全員に届いた。
買い物は女の子重視ということで、ほぼ半分の時間をここで過ごす。
行く場所がなかったのが、本当の理由かもしれない。
「朔弥〜、化粧品見に行こうよ!」
「ん」
早く早く♪
里緒は私の手を掴んで歩きだした。
時間はたくさんあるんだし、急ぐ必要もないと思うけど…。
「ねぇ、アンタ達もついてくる気なの?」
「あぁ。偶には良いかなって」
「ふーん…」
幸村は興味無さそうな雰囲気を漂わせることなく、私たちと同じ店に入っていった。
優希は英語完璧だからお店の人と話をして、スムーズに買い物をしていく。
それに対して里緒は英語が苦手…らしい。
通訳として、私が付き添っているんだけど……結局は自分の好みで選んでいるから私は必要ないと思う。
化粧品とはいえ、そこまで買うものもなかったらしく、20分程してお店を出た。
「次、どこに行こっかー」
里緒がキョロキョロとあたりを見回して発見したのはジュエリーショップ。
あそこに入ってみよう?という里緒に私は呼びとめた。
きょとん、としている里緒は足を止めて私を見てくる。
「ジュエリーショップなら、知り合いの所紹介する。」
「え、マジで?」
「ん。たぶん、値引きしてくれると思う」
「わぁい!」
里緒が私の隣に戻ってきて腕に絡みついてきた。
小さなため息一つ吐いて、幸村達を見る。
何か見たいものでもあるんじゃないかと思って。
そしたら、仁王と目があって。
「なんじゃ?」
「買い物…行きたいところあるの?」
「そうじゃなー……小物とか?」
「俺、美味い店!」
「スポーツ店、かな」
「書店…」
「特にありませんね…」
「うむ」
「俺もねぇな」
ここから近いのは……食事処かもしれないけど。
それはまだあとででいいかもしれない。
スポーツ専門店が確か少し先にあった気がした。
先にそっちに向かえばいいか…。
「で、どこにいくのー?」
「スポーツ専門店がこっちにあったはずだから…その途中で入りたい店があったら入ればいいでしょ」
「おっけー♪」
「うん、それでいいんじゃないかな」
2人の了承もあって、私たちはぞろぞろと歩きだした。
スポーツ専門店では主にレギュラー達がメインで、私たちは店の近くにあったアイスの店で2人がアイスを買って待つことにした。
私は特に食べようとも思わず、ぼんやりと店を見ていた。
ヴー、ヴー…
ポケットに入れておいた携帯が振動した。
たぶん、メール。
ぱこん、と開いて確認してみたらやはりメールで。
キノからの連絡だった。
マスターがこの辺に来ているらしく…、なんかイタリアの店を休んで、開店したばかりの知り合いに色々教えに来ているらしい。
それならば、食事もそこで食べたほうがいい。
その知人は裏に関係してない。だから、一般の人だけということ。
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