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午前の練習が始まる前、各グループの監督が集まり急きょ話しあいが始まった。
呼び出しを受けた朔弥も3人の教師に混じって話を聞く。
明日で合宿の最後の練習となるわけだが、現在のグループで練習試合を行おうという企画。
今までと違った練習とその成果をみるためでもある。
提案者は青学の竜崎先生だ。
「榊先生はいかがですか?」
「やるのもいいだろう」
「ええんとちゃいます?いい機会ですわ」
「……」
「では、賛成ということで…各部長への連絡、お願いします」
「チョイ待ち。ダブルスは2組、シングルスは3人…1人補欠でええんですか?」
「折角だ、先に3ゲームとったとしても最後までやらせよう」
榊も朔弥も了解の頷きをし、練習の場へと戻っていった。
〜榊が監督をしている手塚のグループでは…〜
「―――ということだ」
「分かりました。組み合わせはどうしますか?」
「指示する。今まで通りの練習で構わない」
「分かりました」
「うむ。では行ってよし」
お決まりのセリフで手塚に指示をする。
手塚は静かに一礼して練習に戻っていった。
〜竜崎が監督をしている跡部のグループでは…〜
「跡部、話がある。」
「…はい」
既に練習を始めている中、跡部は一人返事をして竜崎の元へ行く。
真剣な表情で先ほど話しあった明日の練習試合のことを話した。
「――…ということじゃ。今までの練習、発揮して来い」
「フッ 組み合わせは俺が決めさせてもらいます」
「良かろう。決まり次第報告しとくれ」
「わかりました」
「(手塚とはまた違った…しかししっかりしておる。さすが全部員をまとめる力を持つ男じゃ…)」
〜渡邊が監督をする幸村のグループでは…〜
「幸村〜、ちょいこっちきぃ」
お気楽な調子で幸村に声をかけ、手まねきをする。
肩にジャージを羽織り、組んでいた腕をほどいて呼ばれる方へ向かった。
ベンチに座っている渡邊は幸村と目を合わせるとニヤリ、とした笑みを見せて先ほどの差なしの内容を打ち明かした。
「――っちゅーことや」
「……で?」
教師と話をしているように感じさせない幸村の対応に渡邊は苦笑した。
溜息を零す幸村は渡邊から視線を外さない。
「組み合わせは自分たちで決めたらええ。」
「先生が決めなくていいんですか?」
「おん」
「はぁ…じゃあ決めたら報告します」
「よろしゅう」
ひらひらと手を振って、幸村を練習に戻させた。
〜朔弥が監督をする白石のグループでは…〜
他のグループと同様、リーダーとして動いている白石を呼ぶのではなく、全員の集合を呼び掛けた。
ロードが初日よりも幾分か早く終わったのもあり、全員が休憩に入っている。
「朔弥ちゃん、監督同士でなに話してたんや?」
「それを、今言う…」
ドリンクを飲みながら話の内容をすべて聞いているが、その中でも白石は真剣な表情で聞いていた。
今のこのグループ、つまり普段試合できない相手で試合できる。ということになる。
「おもしろそうっすね!」
「せやけど、誰と誰が組むんや?」
「確かに。それは僕も思うな…」
「朔弥のことじゃ。なんか考えがあるんじゃなか?」
「………」
「白石…。このあと、組み合わせの話するから…」
「おん」
「じゃあ、今日は…。ラリー100を3セット。ペナルティーは素振り100と外回り1周3分を5回」
「「「げ」」」
「……」
「「「了解……」」」
「忍足は、白石が戻るまで不二達と一緒に」
「了解や」
それぞれラケットを持ってコートに行く。
朔弥と白石はベンチに腰をおろして意見を出し合った。
誰がダブルスに出るのか。
バランスを考えないといけない。
また、相性も考慮しないと能力は発揮できないと考えて。
組み合わせが決まったのは、10分後のことだった。
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090817
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