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気づいたら、懐いとった。
昨日、朔弥が四天宝寺の遠山を送った後なかなか帰って来んくて…。
幸村の機嫌もすこぶる悪かった。赤也も駄々をこねはじめとったしのう。
帰ってきたのは送ってから1時間以上が経過したとき。
幸村はどうしてこんなに遅くなったのかきいとったけど、何にも言わなかったぜよ。
まあ、今のこの状況をみると何となくわかった気がする。
「朔弥さん、手伝いますわ」
「平気。時間まで休んでていいから」
昨日まで全然朔弥に話しかけなかった財前が朔弥にべったりじゃ。
日吉もそうじゃけど…表情がでにくい奴ほど朔弥に惹かれるのかの…
自分より身長が高い財前の頭を撫でてから、マネ業に戻っていく。
そんな朔弥をしっかり目で追っている財前は撫でられた頭に手を置いて、ため息を零す。
面白いことに、日吉がそれを見ていたのか、財前を睨むような視線を送っている。
「もたもた、してられんのう…」
「は?仁王、どうしたんだよぃ」
「敵は多いってことじゃよ」
「意味わかんねーし」
ブンちゃんも早く気付かんと。
朔弥は鈍そうじゃし、狙っている奴も多いナリ。
準備運動をしながら、考えているのは一つのこと。
体をほぐした後、ストレッチしてる財前の所へ行く。
「のう…」
「……なんです?」
「朔弥は、渡さんぜよ」
余裕の表情を見せたら、予想通り目を丸くした。
あー。面白い。
財前は俺をキッと睨んでゆっくりと口を開いた。
「そんなん、奪いますわ」
「敵は多いぜよ」
「……やりがいがあるんと…ちゃいますか?」
フッと笑って、立て掛けているラケットを持って行ってしまった。
生意気。
だけど、受けて立ちたくなるぜよ。
俺は傍観者となるか。
いや、それはないぜよ。
視線を朔弥に向けたら、白石と話をしていた。
わしゃわしゃと朔弥の頭を撫でている。
嫌そうな顔をしながら手を払っているが、白石は全く動じることなく話している。
白石は檜山の恋人。安心っちゃ安心。
朔弥の心が動かん限りはな…。
ストレッチも終えている俺は、スタスタと朔弥の所に行って声をかけた。
「何してるぜよ」
「今日のメニューのこと話してただけ。不二と忍足が来たら始める」
「2人はどないしてん?」
「不二は手塚、忍足は跡部に呼ばれてて今はいない。」
「じゃあ先にロードやっててええやん」
「……じゃあ白石、集めて。」
今日もあるのか…地獄のロード。
白石が集めて、それぞれロードを始めた。
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090804
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