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その翌日である今日、練習試合が行われるわけだが。

幸村の提案で、立海のレギュラーは輪となって悩ませていた。





「ほら、さっさと引きなよ」





フフフ、と笑う幸村。

その手には、ペラペラの紙が人数分。

昨夜言っていたくじ、本当にやるんだ…。






「ほ、本気か?幸村」

「え?まさか冗談だと思ったの?」





そう。

この練習試合はいつもと違う。


誰がダブルスをするのか。誰とやるのか。

全てがクジで決まる。




「もちろん、負けたら特別メニューだから」



負けの許されない王者。

負けたらそれなりのペナルティーがあるらしい。

しかし、青学は普段と変わりない組み合わせ。






「「「「せーのっ!」」」」






全員がくじを引いた。

自分の持っている紙に書かれている文字が、それぞれの出番だ。

赤也はダブルスらしく、キョロキョロと自分の相方となるであろう人物を探している。

一番に覗きに言ったのは真田の持っている紙。

そこには自分と同じ文字が書かれていなかったらしく、心底ホッとしているように見えた。








もちろん、青学のオーダーは私が預かっている。





「あっちは何やってんのかんにゃー…」

「さぁ…クジらしいけど…」





青学も呆れているらしい。

その中、決まった様子を見せる幸村。

自分はシングルス1は不動らしい。






「じゃあ、始めるよ?」






竜崎先生の言葉で、練習試合は開幕された。






「まずはダブルス2!こっちは桃城・海堂ペア!」


「……切原・柳ペア」






本当にバラバラだ…

でも、この2人は組んだことあるって聞いた。





「朔弥先輩!見ててくださいね!」






パタパタと手を振ってくる赤也。

真田じゃなかったのが余程嬉しかったんだろう。





「雲雀。」

「……?」





柳はラケットを片手に私に近づいてきた。






「スコアの付け方はもうだいじょうぶか?」

「…ん」

「わからなかったら」

「俺がいるから聞きんしゃい」

「……そうだな、仁王にでも聞け。」




そして、私の頭を撫でると戻っていった。

試合開始と同時に空へ上げられたボール。

打って、返して…の繰り返しだ。





1−0

2−0

2−1

3−1





勝ってはいるけど…

海堂の打つ球はなかなか見抜けないらしい。

苦戦している赤也の眼は赤くなってて。






「仁王…」

「心配しなさんな。」





赤目になるのは、いつものことらしい。

感情が高ぶるとなる…とか?





5−2







あと1…か。

柳は、公式の試合でも自分の技は滅多に出さないらしく。

赤也だけ、暴れているようにも見える。





5−3






青学も追い付いてくる。

その瞬間だった。

赤也の様子がおかしいと思った。







「テメーも赤く染めてやるよ!!!」

「……」

「あれはデビル赤也。まさか、この場で出てくるとは思っとらんかった」






今までより、スピードが速い。

練習試合で相手に怪我させるのはよくない。と言うことで、幸村が柳の名を呼んだ。

ただ、名前を呼んだだけ。


それだけだけど、柳は今まで特に目立つプレーはしていなかったのに、赤也よりも早く動いて、球を返していく。




6−3




立海の勝ち。

でも、赤也は納得している様子はなかった。

ラケットを強く握りしめていて、柳を睨んでいる。







「朔弥。今の赤也に近付いちゃいかんぜよ」








真田と幸村が赤也に近づいてラケットを奪う。

何かを話しているように見えた。







「アレは朔弥にとっても、危険じゃからな。」

「……」







私は立ち上がって、赤也の所まで行った。

仁王の止める声など聞かずに、赤也の近くに立つ。




「雲雀。危ないからさがっていろ」

「……」

「ふざけるな!俺はまだ暴れたりねぇんだよ!」




困った顔を見せる幸村。

そこまで、あわてている様子はない。







「朔弥、さがってろぃ。」

「……赤也。」

「あぁ!?」

「おつかれ。」

「………」

「手当してほしいなら、こっちに来なよ」







赤也の頭を撫でてやって、ベンチに戻る。

自分が座っていた場所の所に置いてある救急箱を取り出して。

隣に立っている仁王は何も言わずにみているだけ。




しばらく動かなかった赤也に手まねきをしたら、いつもの赤也にもどって。

シュン、とした様子で私の前に座った。








「ほぅ…あの赤也を抑えたか。」

「ふふふ、さすが雲雀さんだね」

「良いデータが取れたな」

「あのデビル赤也を抑えるなんて、思ってもいませんでした。」

「プリッ」

「まさか…」

「ウソだろぃ…」






「朔弥先輩…」

「…何」

「………何も、聞かないんッスか?」

「聞いてほしいわけ?」

「いえ…。」







手当も終わって、ケースをしまう。







「……よくがんばりました。」








赤也の頭を撫でてみると、目を丸くして私を見てきた。

なんで、目を丸くするのかよくわからない。

でも、赤也は嬉しそうに頬を緩めて、







「…へへッ」






ぎゅう、と抱きついてきた赤也。

ま、勝ったわけだし…今回だけは許そう。











ダブルス1

青学、大石・菊丸ペア

立海、柳生・丸井ペア


7−5で立海の勝ち



シングルス3

真田 対 不二


真田の圧倒的な勝利





これで、3−0で立海のストレート勝ちとなったわけだけど。

動きが悪いと幸村が絶対零度の笑みだった。






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090630


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