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昨日も1日キノの家で休んで。
さすがに今日は学校に行かないと…と思って体を起こした。
歩いていける距離ではないことは承知済み。
「行くんだろ、学校。」
車のキーをくるくる回しながら、ちゃっかり支度済み。
「送るぜ」
今日は学校に行くなんて言ってない。長年の付き合いのせいだろうか。
エレベーターで地下の駐車場まで行き、助手席に乗り込んだ。
このままいけば遅刻はしないであろう。
溜息を零しながら、窓の外に視線を送る。
「朔弥。お前クスリ飲んでるのか?」
「もう、切れかかってる」
「だろうとは思った。ちゃんと、飲んどけよ?」
「……わかってる」
バックの中に入っている半透明のケース。
中にはもう残り少ない薬が音を鳴らした。
学校まで約1時間。
校門のすぐ近くで止まったから、車から降りてバックを肩にかける。
「じゃあな。」
「…ん」
「俺はあと2日ほど日本にいる予定だが……」
「大丈夫。もう、平気だから」
「ならいい、でも無理すんな…俺が居る時は頼ってくれて構わねえけど、いないときは…兄貴やら仲間に言えよ?」
しまってあったサングラスを取り出し、かけると手を振ってから車を出した。
……いい注目の的だな…
じろじろ見られているけど、まあ無視して教室へ向かった。
朝練は…流石にもう終わっている。
「朔弥ー」
「……仁王」
「おはようさん。」
朝練…出てないのか。
「派手な登校じゃな。皆噂してるぜよ」
「関係ない。」
「そう言うと思っとったけどな」
仁王は私の隣を歩いて、先日のこととか話してくる。
幸村の機嫌が悪かったらしい。
そのせいもあったかもしれないが、練習もハードだったとぼやいていた。
「のう、朔弥。」
「………なに」
「顧問が、呼んどった。」
「……」
「もし学校に来たら呼んでほしいとな。お昼に、職員室に行ってくれんか…?」
「……」
「俺も、一緒にいくぜよ。だから、な?」
何が嬉しくてアンタの所に行かなきゃいけないんだ。
私は……学校に来るのも億劫だったというのに。
「いいよ、来なくて。」
「じゃけど…」
「平気だから」
だから…
そんな憐れむような目で私を見るな。
立ち止まっている仁王を置いて、私は教室に入る。
里緒が抱きつきながら「おはよう」と言ってきた。
昨日まで、連絡しなかったから怒るかと思ったけど…今の様子からして怒ってないらしい。
「朔弥、おはよう。」
「……おはよ」
「この前弁当忘れてったでしょー。持ってきたよ!あ、もちろん中は空っぽだけどね♪」
「弁当の中身は御馳走になったわ。……で、仁王。そんなところに突っ立ってないで入ってきたら?」
「……あぁ、そうじゃな」
ふらふらーと、入ってきて、自分の席に座った。
ブン太が朝練なんで来なかったのか質問していたけど…答える気はないようだ。
仁王は、わかりにくくて…とってもわかりやすい。
「雲雀」
教室に断りなく入ってくる柳。
私の前まで来ると一枚の紙を置いた。そこにはテニスボール、テーピング、部活で使いそうなものがリストアップされていて。
「今度の日曜に買い出しに付き合ってくれないか?」
「………」
「詳細はメールする」
小さく頷いておいた。
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