ページ:3
残すところ、この修学旅行もあとは帰るだけとなってしまった。
朝の飛行機で帰るみたいで、空港近くのホテルで1泊することになっている。
オレンジ色の照明に囲まれながら、お風呂の順番を待つ。
とは言うが、湯船はないからシャワーだけだ。
「くぅーーー!疲れたぁーーー」
「今日は買い物でいっぱい歩いたからね」
「朔弥も疲れた?」
「そうだね……たぶん、疲れた」
「多分って…なんだそりゃー」
里緒は苦笑しながらベッドに腰掛けている私にひっついてきた。
腕を私の腰に巻きつけて、体を寄せてくる。
「里緒」
「んーー、もうちょっと」
「はぁ…」
深夜になれば、私は出ないといけない。
ヴァリアー…特にザンザスが煩いから。
優希と里緒の2人が寝たのは11時。
相当疲れたんだと思う。
「おやすみ」
2人の頭を順番に撫でて、私は着替えて窓から外に出た。
ドアから出て、誰かと遭遇したりしたら面倒だし。
空港から少し離れた場所、路地に足を運び、古びた看板に『アルヴェアーレ』の文字。
表では蜂蜜専門店だけど、門を一つ潜れば裏の世界だ。
コンコン
≪はい≫
≪来たけど≫
【朔弥、久しぶりじゃないか!】
私と同じくらいの青年がにこやかな笑顔で迎え入れてくれた。
【来てる?】
【そりゃ。ザンザスさんは相変わらずで驚いたよ】
【どこにいる?】
【客室さ】
廊下を歩きながら、そんな他愛ない話をして。
ドアを開けて
ヒュッ
ガシャーン!!
ワインの入ったビンが飛んできた。
「ザンザス」
「おせえ」
「煩い」
≪じゃ、俺は行くからな≫
≪ん≫
ひらひらと手を振って、暗い廊下に同化して消えていった。
溜息一つついて、ザンザスの方を向く。
「あら、久しぶりねー朔弥♪」
「ルッスーリア…」
「ししし…ガッコー行ってんだって?」
「まぁ」
「朔弥は面倒なことをよくやるね」
「……」
「元気だったかぁ?」
スクアーロは、私の頭を撫でてきた。
軽くあしらって、ザンザスの前に立つ。
「私を探してた理由は?」
「てめえは裏の人間だろ。ジジイの言いなりになるなら俺の下につけ」
何回目かの勧誘だ。
そのたびに私は断り続けている。
「私は今、ツナの下についている。」
「ハッ、くだらねぇ…」
ザンザスとのやり取りなんていつもこんな感じだ。
下に設備されている射撃場に足を運んで試し撃ちをする。
新しいのが入ったって聞いた。
「まだ銃を扱うの?」
「まぁ。出来て損はない」
ルッスーリアは体術をよく使う。
それは接近戦で有利であって、遠距離は苦手分野だ。
台に置かれている銃を手にとって、前にある板の人形に向って撃つ。
頭。心臓。足。手。
「相変わらず命中率いいわねぇ〜」
「……頭、ずれた。あと3mm右のつもりだった」
「それでも、よ。」
「ザンザスは驕らないお前を気にいってんだァ」
関係ない。
驕る必要もないし、おごるほど私はよくない。
それに…
「ボスは何か理由があって私を転校させたと思うから…。それがわかるまで待ってみる。」
「あら…珍しいわね、あなたが理由もわからずに事を進めるなんて」
「そんなのは、ボスのことだけ。私が日本に来れたのも……兄さんと過ごすだけじゃなかった。リボーンも居たし…。」
だから、今回も何かあると思う。
ただで転校させたにしては長すぎるし、突然すぎる。
若がいたのは正直驚いたけど。
これではないと、そう言っている気がした。
「まぁ、朔弥がいいなら何も言わねえ」
スクアーロが呆れたように言う。
はぁ。
溜息一つ零して、銃を置いた。
「それ、使いかってはどう?」
「……文句ない。でも、少し腕に負担がかかる…」
「仕方ないわよ。これでも殺傷能力は増すもの」
数発撃っただけだけど、いつもより肩への負担は大きい。
「そう言えば、今何時?」
「何だァ?藪から棒に…」
「私は修学旅行の身なんだけど…。同室の子が起きる前に戻らないといけない…」
ベルが朝の4時だってヘラッとした顔で言う。
暗殺部隊は寝ないんだろうか…。
そんな考えを捨てて、私は銃を返して『アルヴェアーレ』から出た。
さて、2人が騒ぐ前に戻ろうか。
そのあと。
1人もばれることなく戻ってきた私は、飛行機の中で爆睡した。
まだ元気だった2人に対して寝ていなかった私の隣に座っていたのは幸村とジャッカルで。
どうやらジャンケンで勝ったらしい。
もちろん、飛行機の中では個人個人のシートのため、誰にもよりかかることなく私は睡眠についた。
エコノミーなんて、久しぶり……。
NEXT...
110515
修学旅行、終了です!
gdgdですみませ…
[←]
無料HPエムペ!