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マスターから運ばれてきた料理が揃った。
私のいつものメニューというのも、昔のまま変わっていない。
「朔弥のいつものって、これなの?」
「うん」
私が好きな物だけを厳選して、ランダムで出してくる。
マスターは、何か曲を流しておくからな。と言って、和室から去った。
数秒後に流れてくる琴の音。
「雲雀。あの人とは付き合い長いのか?」
「……さぁ。マスターの所に居たのはそんなに長くない。…けど、知りあってからは長い。」
「へぇー…」
「気になったんじゃけど…なんでマスターと呼んでるんじゃ?」
「母国でバーを運営してるから。」
「なるほどね」
1時間もかからないうちに食事はすべて終了。
まぁ、お昼だしそんなにかからないか。
「食い終わったか。」
「ん」
御馳走様でした。
と、それぞれマスターに言った。
「抹茶風味のジェラードを試作品で作ってみたんだが…腹に余裕のある奴いるか?」
マスターの声に柳と真田、ブン太が食べると言った。
優希と里緒、そして私の3人で1つを食べる位で十分だろう。とマスターに視線を向けた。
「朔弥も食いたいだろ?3人分のスプーン持ってくるよ」
「ん」
店主とマスターが空っぽになったお膳を下げていく。
この人数のお膳を運ぶのも大変と思って手伝おうと思ったけど、座ってていいと言われてしまった。
マスターは人数分のジェラードを持ってきて、座敷に腰を下ろす。
「何年ぶりかな、朔弥をこうやって面と向かって話すのは。」
「……4年くらい。」
「そうか……」
「雲雀さんとは、どれくらいの付き合いなんですか?」
幸村がマスターに聞いてくる。
私がさっき流したから…。
「そうだな、ちっさい時から知ってるよ。とはいえ、8,9歳くらいだったかな。こーんなちっさくてよ」
ひらひらと手で昔の背丈を表してた。
よく覚えてないから、そのくらいだったのかわからないけど。
「今みたいに表情豊かだったら良いんだけどな。昔は笑うのわの字もなかった。」
「……」
「今は、これだけ表情も豊かだし、読みやすくなったもんだよ」
「(全然わかんねーんだけど…)」
ブン太がこっちを見てきて、何?と聞いたら何でもないと言われた。
目の逸らし方からして、表情に関係することだと思うんだけど。
「実はな、この個室だけ和室なんだ。」
「え、ここだけ?」
「あぁ。朔弥は和室が好きだからな。いつ来ても通せるようにしているんだ。」
とはいても、ここは俺の店じゃないんだけどな。
と、笑いながら言っていた。
盛り上がって、そろそろ店から出ようと思った。
買い物もまだ終わってないし。
「マスター」
「ん?行くのか。」
「うん。」
私は財布から白にボンゴレのエンブレムがうっすらと入っているカードを出して、マスターに渡した。
あいよ。と一言いってそれを受け取り、置くに会計を済ませに行っている。
「雲雀さん。会計は?」
「ん、今渡した。」
「あのカード?」
「そう。認証カードみたいなもの」
「それじゃ。」
「あぁ。次に会えるのを楽しみにしてるよ。」
ひらひら、と手を振って見送ってくれた。
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