この手を離したら最後 もう戻れない そんな気がした。 (繋がれていたのは私なのか) (それとも あなたなのか) 普段から確かにそっけなかった二人。というか繋がりさえもあるようでないようで曖昧。だが誰がどうみても他人や友人や家族みたいなものではなくて。 誰かが言った。きっとあの二人は特別な生き物だと。 「何がしたいのかしら」 「…誰のはなしなの」 並中の校門前にいる二人の周りには、男子学生が倒れている。だがその二人は周りを気にせず話を進めた。 「恭弥、あなたのことよ」 「は」 「だっておかしいと思わない?」 「なにが」 「群れるなっていって、結局何がしたいのよ」 「咬み殺したい」 「違う、あなたは人が苦手なんじゃないの」 「そうかもね」 「私は」 「?」 「私のことは平気?」 「さぁ?」 「じゃあなんでこんなに近くにいるの」 問いかける彼女は右の目を眼帯で覆っていた。問われる彼は両手に血のこびりついた武器を持っていた。 見たところ中学生くらいなのだが、その雰囲気は異様なものだった。 「なんでだろうね」 「きちんと答えて」 「僕にも分からないよ」 彼は両手の武器をしまい彼女に手を差し出した。 「ただなんとなく…じゃだめなの?クローム」 「その手もなんとなく?」 「そう」 「話しにならないわね」 彼らしい、そう思ったのか、おもわず笑みがこぼれ、彼女は彼の手をとった。 「いいわ、あなたについて行く」 「ありがとう」 繋いだ手は契約 その手をこばめばもう終わり 彼のめったに吐かない感謝の言葉が身にしみた。 (繋がれていたのは私) end |