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3 side.リーバー


あれはほんの30分前。
オレ達が相変わらず給料にならない残業をしていた時だった。


「コーヒー飲む人ー?」


リナリーが休憩のコーヒーをわざわざオレ達のところに持ってきてくれた。
コムイ室長とは似てもにつかないリナリーのすぐ後にコムイ室長がやって来たんだ。


「見て見て!ジャーン♪我が科学班の救世主こと“コムリンU”でーす!」


コムリンは室長の頭脳と人格を完全にコピーしたイノセンス開発専用の万能ロ…


「ポンコツ、だろ?」
「そうでした…」


自信満々にそう言ってのけたコムイ室長に昔あったことなんてスッカリ忘れてオレ達は喜んだ。


「まさにもうひとりのボク!これで仕事がラクになるぞー!!」


そこで気付けなかったオレ達もまたいけなかったが、日頃の残業と雑務に終われる毎日で疲れていたんだ。
だけど、その時気付くべきだったと今さらながらに後悔もした。
あの時は珍しく「オレ達のこと考えてくれていたんだ。」と素直に感謝したんだ。
だったんだがリナリーの一言によってすぐにソレは覆された。


「兄さん、コムリンてコーヒー飲めるの?」


そのリナリーの質問に「何を言ってるんだい」とばかりに笑い飛ばすコムイ室長。
オレ達も他人事のように「あははは」とか笑って和やかムード。


「何言ってるんだリナリー。いくらボクにそっくりだといってもコムリンはロボットだよ?

コーヒーは……」


呆気らかんと言ったコムイ室長の言葉を最後まで聞く前にムリンがリナリーに麻酔を注射。
あれは一瞬の出来事だった。


「私…は…コム…リン。エクソシスト強く…する…この女…はエクソ…シスト…この女をマッチョに改良手術すべし!!」

「「「なにぃーー!!」」」


そのまま訳の解らないことを言い出したコムリンにオレ達は残業の疲れもふっ飛んで我を取り戻す。
慌てて取り押さえようとしたオレ達の行動も虚しく暴走し出したコムリンは手始めに科学班の部屋を破壊した。


ドギャァンッ!

「「「「ギャーー!!」」」」







「……というわけだ…悪いな…こんな理由で。」


話し終わったオレに解っていたがやはりアレンは呆れた顔。


「(アホくさ……っ!!)…アレ?でも秋羅がこんなに怒ってる理由って…?」
「あ゙ん?そんなに聞きてぇのか…アレン?」
「(目が笑ってませんー!!)」


コムリンが関わるとかなり機嫌が悪くなる秋羅を知らないアレンには後で教えておこう。
今は会話に入ろうものならオレの命は塵になる。
アレンはどもりながらも話題をかえようと腕の中のリナリーに急いで視線を落とした。


「い、いいえ!と、ところでリナリーは大丈夫なんですか?」
「ああ、それならゴミの麻酔針だから平気だろ。」


前にも起こった悲劇にオレは何処か遠くを見つめる。
あの時はこれまた暴走したコムリンが秋羅に襲い掛かって、麻酔針を注射した。
それが弱かったのか、気絶しなかった秋羅はよろよろしながら刀を構える。
だったんだが、あれは怒りと眠気で目が据わってた。
しかも任務から帰ってきてた神田が教団を壊す勢いで六幻をぶっ放した時は取り押さえるのに何時間もかかったことか。
秋羅は秋羅でことの元凶であるコムイ室長に襲い掛かって大変で。
取り押さえようものなら、刀で八つ裂きにされるんじゃないかくらいな眼光が向けられるし。
といってもアレがあったから科学班の中での秋羅の評価が変わったわけなんだが。


「……リーバーさん?」
「…あ、ああ。今は眠ってるだけだ。はあぁ〜ラクになりたいなんて思ったバチかなあ…」
「え?」


苦笑混じりに答えたオレにアレンがきょとんと首を傾げる。
何も聞いてこなかった秋羅は多分、全部解ってんだろう。


「お前達エクソシストやファインダーは命懸けで戦場にいるってのにさ。悪いな、おかえり」

「……おかえり秋羅…」
((……兄さん))


突然、黙り込んでしまった二人にオレは何か変なことを言ったかと心配になる。


「アレン?秋羅?」
「え…あっはい!」
「ああ、すまん。」
「お前ら二人して何だよ。もしかして任務の傷が痛むのか?報告は受けてるぞ。」


苦笑を浮かべるアレンは心配かけてしまったと、ははっ、と笑ってオレを見る。
秋羅は何も言わずにただ、ニコ、といつものように笑みを浮かべただけだった。


「いえっ、平気です!た、ただいま。」
「ああ、俺も大丈夫だ。」


未だに「ただいま。」と口にしない秋羅はやはり笑っているだけだった。
まるでココに居るのに居ないような存在。
ファインダーや一部の科学班、教団の者は秋羅と関わった奴も関わったことがない奴も口々にこう言った。
アイツは心が通っていない冷徹な異端者。
致命傷を負っても死なない化け物。
そんなことを言われてんのに何で否定も肯定もしないのか。
昔から変わらない。
秋羅はオレ達から距離を置こうと必死に壁を作ってた。

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あきゅろす。
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