6 「ブワッ」と棺からは溢れんばかりの血が吹き出した。 クロウリーは血だけになりながらも、仲間を守るためにジャスデビを捕らえた。 イノセンスの力を使って、イノセンスの力が宿っている血だけで… そう、体は棺――メイデン――の中に残ったまま。 耳を失ってしまったように自分の呼吸の音も聴こえない。 痛みも、何も感じない。 クロウリーは、今、意識だけで動いていた。 圧倒的だった力の差は、今やクロウリーの方が上。 いや、たとえ力の差がなくとも、その守りたいという想いの差でクロウリーが勝っているのだろう。 「ぐぁあああ…ッなんだよ…ッッ?あいつに今、打たれた所から…、何か…ッぅ゙ッ…、ぐ…!!」 ビキッ すると、ジャスデビの左の額から目にかけて痣が広がった。 「ゴロゴロ」とのたうち回るが痛みは徐々に浸透していく。 「なんなんだよッッ!!」 パンッ 「ビキッ」と等々それは左腕にまで広がりそこには“INNOCENCE”と文字が浮かび上がった。 「やべぇ…、バイ菌入った…」 ジャスデビは力を解放し、その力を右腕へと集中した。 汚 ら わ し い 化 物 ッ ッ が !! 「私は守る」 アレン、ラビ、秋羅… 「私は一緒に…」 二人の拳がぶつかり合った瞬間に辺りには光で包まれた。 トンッ その光が晴れると中から現れたのはジャスデビ。 ジャスデビは次の扉まで歩いてくると縁に腰掛けた。 「…痛…、…ちょっと…休ま…ないと、ね…」 「ジャスデロ…」 「デビット…」 ひとつだったものは再びふたつに分かれ扉の中に落ちていく。 すると、棺が開き閉じ込められていたクロウリーが中から解放された。 その横に佇むクロウリーの血。 イノセンスが喚びあうように光ると、その血はクロウリーの中へと戻っていった。 「(ああ…)」 意識が…、 体に戻ってきたようだ。 体がそこらじゅう痛いである… 崩壊を続ける部屋。 「(寒い…)」 意識が遠のいて、いくである………だが、ひとつだけ確信できる。 秋羅たちは、きっと、ちゃんと、先に進めた。 私はちょっと休んだらすぐ… 行くである… 「(約束だから、な…)」 どくんっ! 「っ!……ク、ロ…?」 二つ目の時空(トキ)が止まった。 [前へ] [戻る] |