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ブルー・デュール
桜 常 編

99

 次に目が覚めたとき、おれは白いパイプベッドに寝かされていた。
 寮のおれの部屋くらいの広さで、窓もある普通の部屋だ。

 窓にはクリーム色のカーテンが引かれ、外の様子は見えない。
 カーテンを開けたくても、四肢をベッドに繋がれているので体を起こすことすらかなわない。

 左腕には点滴が施され、ベッド脇に吊り下げられたパックから透明な液体が定期的に滴り落ちている。
 食事をさせられた記憶はない。
 この点滴がおれを生かしているのだろう。

 ときどきあの眼鏡の所員がやってきて、おれの左腕になにかを打っていた気がする。
 だからこんなに頭がぼんやりするのだろうか。

 とても温かくて、眠くて、無駄な意地を張っていた自分が馬鹿らしい。
 意識はあるが、とぎれとぎれで、夢の世界をたゆたっているようだ。

 ここはどこだろう。

 別にたいした問題ではないけれど。

 ここを出なくちゃ。

 出て、それでどうするというんだ。

 このままではだめなのか?

 このままでも、楽でいいではないか。

 なにも考えなくていい。

 ときどきこめかみを流れていくものはなんだろう。

 なんでおれは泣いているんだろう。

 今は夏だったっけ、だからこんなに胸が熱くなるのかな。

 胸が痛い。

 薬を投与しすぎておかしくなってしまったのか?

 夢を見ているのかなおれは。

 おれはここにいるのに、どうしてあいつは来てくれないんだ。

 おれになにかあると、必ず来てくれたじゃないか。


 おれはここだよ。早く来てよ。



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あきゅろす。
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