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ブルー・デュール
桜 常 編

74 ※

 絶対に泣くものかと心に決めていたが、激痛に生理的な涙を抑えられなかった。

「うあ……っん、あっ、くう……」

 倉掛が少しでも動くと繋がった部分が拷問のように痛む。

 おれはソファに突っ伏して両膝を立て、尻だけ高く上げた屈辱極まりない格好をさせられている。
 手を背中で拘束されているので四つん這いにすらなれない。
 倉掛は後ろからおれの腰をがっちりつかみ、猛った楔を無理やり秘部に突っこんでいる。
 ほとんど慣らさなかったので、挿入されたとき、あまりの痛みに冷や汗が一気に噴き出した。
 滑りが悪くしばらく倉掛は動きづらそうだったが、次第に濡れた音がしだして律動がどんどん激しくなった。
 刺すような痛みからして、入り口が倉掛自身の大きさに耐えきれず裂けて血が出ているのだろう。

 倉掛はおれの懇願などまったく意に介さなかった。
 それどころかおれの呻き声を聞いて嬉しそうに喉を鳴らしている。
 かすむ視界の端に映った倉掛の顔は、人を屈服させる暗い悦びに歪んでいた。

「ああっ! う……あ」
「やっぱいい声……その顔も、すごくそそる」
「いっ……も、やめっ……」
「だめだよ、もっとよく刻みつけておかないと」

 最奥を突かれ、限界まで押し広げられた秘部が嫌な音を立てた。
 おれはしぼり出すような声をあげ、両の手の平に爪を立てて痛みを紛らわそうとした。

「肩ほっそいなあ、ちゃんと食ってんのか?」

 倉掛が背中に密着してきて、結合が深くなり体が震えた。
 倉掛はおれの右肩をつかみ、なめたあとに思い切り噛みついた。
 皮膚が食いちぎられそうなほど強かった。

「い……ったあっ」

 首をねじってなんとか後ろを向くと、歯型がついたおれの肩を眺めて満足そうにしている倉掛と
目が合った。
 歯を食いしばって睨めば、倉掛はいやらしく目を細めてほほ笑んだ。
 普段のにこにこした表の顔とは比べ物にならない、本能に満ちた雄の顔だった。

「ははっ、かわいーよ……りゅう」

 倉掛は荒い息をはきながら笑う。
 腰と腰がぶつかる音が早くなって、痛みも倍増していく。
 おれは悲鳴に近い声をあげた。
 痛覚が総動員されすぎて、なにがなんだかわからなくなった。

 倉掛が中で達したのがわかった。
 倉掛はしばらくそのままで余韻に浸っていたが、一気に自身をおれの中から引き抜いた。
 おれはソファにぐったりと横たわって呼吸を整えた。
 圧迫感は消えても秘部は変わらずじくじくと痛んでいる。
 目は開けたままだったが、なにも見えなかった。

 倉掛はひとりで身だしなみを整えている。
 おれは拘束すら解いてもらえず、破れたシャツをひっかけているだけであとは靴下しか身につけていない。
 やるだけやって、満足すれば放置か。


   ◇



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