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ブルー・デュール
桜 常 編

45


「う……っ、やめ……」

 だんだんスピードが速くなっていき、ほぐされて広がってきたところでもう一本指を増やされた。
 圧迫感が強くなり、おれは呻き声をあげた。
 指は先走りの滑りを借りてばらばらに動き、奥の奥まで暴いていく。
 ずんと強く突きいれられると、背筋を快感が駆け抜けた。
 冗談だと思いたい。

「あ、ああっ、んんっ」
「よさそうだな」
「ち、が……うあっ、んっ」

 なけなしの否定も喘ぎに取りこまれ、おれの上で鳴瀬が鼻を鳴らして笑った。

「また嘘つく。感じてんだろ? 初めてでこれだけ喘げるなんて、この淫乱」

 言いながら鳴瀬は指を抜き、おれの腰をつかんで手前に引き寄せた。
 おれの膝裏に手を入れて足を持ち上げ、太ももが胸につくまで折り曲げられた。
 達せずに涙をこぼす自身も、いじられてひくつく秘部も鳴瀬に丸見えだ。
 屈辱的なポーズをさせられ、おれがなにも言えずただ口をぱくぱくさせているのを、
鳴瀬は楽しそうに眺めている。

「さすが、鍛えてるだけあって柔らかいな」

 鳴瀬はおれの足を肩に担ぎ、秘部に指を突っこんでぐるりとかきまわした。
 おれのほてった体はそんな刺激にも律儀に反応する。
 鳴瀬は指を抜き、熱く猛ったものを押しあてた。
 先端を押しつけるように入り口をなでると、その凶器のようなものを無理やり内部に突き立ててきた。

「いっ! い、いってえっ!」
「あー狭いな……おい、力抜け」
「むっ無理っ」

 指の何倍も太いそれは明らかに許容範囲を越えている。
 入り口が強引に押し広げられて裂けそうだ。
 おれがどんなにやめろと言っても鳴瀬は聞き入れなかった。

 先の一番太い部分を飲みこんでしまうと、鳴瀬は足を抱えたままおれの体の両脇に手をついて
一気に最奥まで貫いた。

「う、あ、んあっ! い……」

 抜けそうなほど引き抜かれ、また奥まで突かれる。
 ぐちゅりと耳を塞ぎたくなるような音が鳴り、体の芯が震えた。
 乱暴に何度も突かれて粘膜が悲鳴を上げる。
 痛くて熱くてどうにかなりそうだ。

「あっあっ、んっ、あうっ」
「エロい顔……」
「そん、なことっ、あっ」

 痛みと一緒に奇妙なしびれが背筋をかけ上った。
 おれはもうされるがままで、ひたすら喘ぎ声をあげた。
 痛みに耐えるために、しびれに潜む甘い感覚だけを追った。
 鳴瀬のものがおれの中を行き来するたびに寄せる、濁流のような快楽におぼれそうだ。
 いや、すでにおぼれきっている。
 あまりの激しさに呼吸すらままならない。

「ひああっ、ん、あ、なる、……んうっ」

 鳴瀬の先端がおれのいいところを突きあげた。
 おれは背中をのけぞらせて、なんとか自分を繋ぎとめようと必死になった。
 両目から涙がこぼれると、舌ですくい取られた。
 鳴瀬は少し辛そうに目を眇めておれを見下ろしている。
 きっと今のおれの顔はひどいことになっているだろう。

「俺の背中に手をまわせ」

 おれは爪が食いこむほど握りしめていた両手を鳴瀬の背中にまわした。
 うらやましいくらいたくましい背中に指の腹を押しつけ、強くすがりついた。
 鳴瀬を抱き寄せる形になり、結合が深くなって鋭い痛みが走った。

 おれのものははちきれそうなほど張りつめている。
 先走りが次から次へとあふれて秘部を濡らしていく。

「んっあっ、も、もうっ……あうっ」
「いきたいか?」

 もうどうにかなってしまいそうだった。
 おれは泣きながら何度もうなずいた。
 すると鳴瀬の腰の動きが早くなって、おれは悲鳴じみた声をあげた。
 抜き差ししながら鳴瀬はおれの中心に手をはわせた。
 ぐしょぐしょの自身をしごかれて先端を強くなでられ、頭の中がスパークした。

「あああんっ、んや――」
「っは……」

 おれは鳴瀬の制服に爪を立て、全身を震わせて絶頂を味わった。
 いった反動で内部を締めつけ、熱いものが中で弾けるのを感じた。
 情けない声をすべてしぼり出すと、四肢が弛緩して両腕が鳴瀬の背からずり落ちた。
 おれは荒い息をはきながらぼんやり天井を見つめた。

「ん……」

 鳴瀬のものが引き抜かれると、急に熱がなくなって物足りない感じがした。

 しばらく力なくデスクに横たわっていたが、肘に力を入れて頭を起こした。
 たたずまいを直した鳴瀬は、少しだけ余韻を残した色気のある表情をしている。
 おれは自分の出したもので腹を汚してしまっていた。
 内側はまだ熱を持ってじくじくと痛んでいる。

 鳴瀬はおれと目が合うと、おれの腹に顔を近づけて見せつけるように白濁をなめとった。

「信じらんね……」

 なめてすべて綺麗にしてしまうと、鳴瀬はおれの尻たぶをつかんで左右に押し広げた。
 じっと見られるとそこがむずがゆくなる気がした。

「み、見んなよ」
「真っ赤だな、お前のここ」
「あうっ……」

 鳴瀬は遠慮なく秘部に中指を突っこんた。
 敏感になった内部はそれだけで喜んだ。
 鳴瀬は内壁をひっかくようにして指を抜いた。
 中出しした鳴瀬のものがあふれて床に染みを作った。

 その場で鳴瀬が出したものを全部かき出してしまうと、鳴瀬はおれの上半身を起こして目線を合わせた。
 後頭部に手を添えて唇を重ねられる。
 下唇を吸い上げてから鳴瀬はゆっくり離れていき、鼻がくっつきそうなほど近くで笑った。

「やっとおとなしくなったな」

 抵抗する気力はすべてそぎ落とされ、おれはなにかしようという気になれなかった。
 鳴瀬はおれの腕に絡まっていたシャツをきちんと着せてボタンをとめた。
 ズボンと下着を拾い上げ、はかせてくれるのかと思ったら放ってよこしただけだった。
 おれはのろのろと衣服を身につけ直し、最後に上履きをはいた。

 鳴瀬は椅子に座って窓を開け、のんきに煙草を吸っていた。
 窓の外から生徒の屈託のない笑い声が聞こえ、一気に現実に押し戻された。
 友崇の煙草とは違う香りが生温かい空気に乗って鼻をくすぐる。

 鳴瀬は煙草をくわえたまま、おれの鞄を拾って手渡した。

「先に帰ってろ」

 そう言っておれの顔をなで、目尻を親指の腹でこすった。
 まだ涙の跡が残っていたのだろう。

 鳴瀬の長い指に頬を包まれながら、おれは思った。
 こいつの手からは逃れられそうもない。



 五章

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