ブルー・デュール
桜 常 編
44
※
「ここまでされてわからないのか? 鈍い奴」
「いやだっ、や、めっ」
鳴瀬はおれの首筋に軽く音を立ててキスした。
あちこちにキスしながら、唇はどんどん下におりていく。
はだけられた胸元をなめてから、唇は小さな突起にたどりついた。
冷たい空気に触れて立ち上がった突起を、鳴瀬は舌先で強く押しては吸い上げた。
ぬるついた熱いものに何度も遊ばれて、おれはじょじょに息が上がってきた。
「ん……」
頭上で縫いとめられた手に力をこめると、鳴瀬は突起を口に含んだままおれを見上げた。
「なにか言いたそうだな」
「だ、だから……やめろって……」
「違うだろ」
鳴瀬は素早くおれのズボンからベルトを抜き取って床に放った。
支えを失ったズボンと一緒に下着を下ろされ、神業のような手際の良さで両足を抜かれた。
いつの間にか上履きも脱がされていた。
おれは下半身まるだしで、シャツは腕に引っかかっているだけという無防備極まりない格好になった。
いったん顔を離した鳴瀬に全身を俯瞰され、顔が紅潮するのがわかる。
恥ずかしくてやるせなくて、おれはできるかぎり険しく鳴瀬を睨みつけてやった。
「なんだその顔、誘ってんのか」
「てねえよ! 馬鹿にしやがって、覚えてろよ!」
「はは、元気だな」
「ふざけ……あっ」
冷たい手がおれの中心をなであげて、抗議の言葉は中断された。
鳴瀬は長い指を自身に絡め、ゆるゆるとしごきだした。
「あ、や、やめろっ」
罵倒してやろうと思ったら口を口でふさがれた。
舌が口腔の奥まで入りこんで、制止の声もなにもかも飲みこんでいく。
唇からもれ出てくるのは、か細い喘ぎばかり。
「ん……あっ、ふ……」
鳴瀬の華麗な手さばきであっという間に自身は大きくなった。
こんな奴に、と思っているのに、体はどうしても言うことを聞かない。
それとも言うことを聞いていないのはおれの理性だろうか。
先走りが出ていやらしい水音がおれの耳を侵していく。
引き出された舌を軽くかまれると、じわりとさらに体が熱くなった。
日が落ちてきて生徒会室は薄暗く、妖しい雰囲気に包まれている。
鳴瀬が深い影を背負って、おれのものに手をはわせているのを視界の端に収めると、
なんとも言えず興奮した。
「んう……! あ、や……っ」
「やじゃねえだろ。もうぐちゃぐちゃだぞ。俺の手はそんなにいいのかよ?」
おれは必死に首を横に振った。
認めてたまるか。
「嘘ばっかりだな、お前。少しは素直になれよ……」
鳴瀬がおれのものを根元から強めにしごきあげた。
ひときわ大きく水音が立ち、おれは全身をびくりと震わせた。
思考が白く染まっていき、甘いしびれが頭まで駆け上っていく。
「ああっん、だめ、出ちゃ……!」
だが鳴瀬の手は、極限まで高められた自身から離れていった。
もどかしい熱を押さえきれず、おれはぼんやりしつつ目で訴えた。
鳴瀬はすべて理解している様子で、悪人面でほくそ笑んだ。
「言いたいことがあるなら言ってみろ?」
そう言われておれが言えるわけがないと知っていて、そんなことを口にする。
鳴瀬も友崇と同じ人種で、人が困って嫌がっているのを見て喜ぶようだ。
「今はまだ無理か。まあいい、そのうち言わせてやる」
鳴瀬はおれの先走りで濡れた手を奥に持っていった。
臀部を指で割り、おれだって触ったことのない場所をつついた。
「ちょっ、なにす……」
「お前初めてだろ? ここに突っこまれんのは」
鳴瀬の指が閉じた秘部をくるりとなで、ゆっくり中に入ってきた。
初めて感じる異物感に、おれは熱も忘れて慌てふためいた。
「ふっふざけんなっ、抜けよっ馬鹿っ」
しかし鳴瀬は構わず指を差し入れ、関節を曲げて広げるようにしながら押し入っていく。
弱い粘膜をこすられておれは身震いした。
「そんな怖がんなよ。すぐ慣れるから」
そう言われても、はいそうですかと受け入れられるわけがない。
おれは体をねじって逃れようとしたが、デスクの上に転がされている状態では無駄なあがきだった。
よじれてめくれ上がったシャツが腕に絡まって、余計に身動きがとれなくなった。
鳴瀬は指を根元まで差しこんでしまうと、出し入れし始めた。
敏感な内壁を何度もこすられて、ぞわぞわする嫌な感覚がおれをかき乱す。
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