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ブルー・デュール
桜 常 編

29


「いい加減どいてくれよっ」
「どいてどうするんだ」
「部屋戻るんだよ、当たり前だろ!」
「こんな状態で? 辛いだろ?」

 友崇は足に指を這わせながらドレスの裾をゆっくりたくし上げ、下着の形をなぞるようになでた。
 おれは変な声を上げないように下唇をかんだ。
 友崇が用意した下着は女物だったので生地が薄く、指の感触がダイレクトに伝わってくる。

「かむな、血が出る。そんなに我慢しなくても俺が抜いてやるよ」
「冗だ……うわっ」

 下着を一気に脱がされた。
 友崇は器用に左足だけを抜いて、下着は今や右足首に所在なげにぶら下がっている。
 友崇はおれの両足を開いてそのあいだに体を入れ、頭の脇に手をついて艶っぽく笑った。
 直に自身を触られてこらえきれない声がこぼれ落ちた。

「んあっ……んっ、ちょ、やめろって……」
「いくらでも嫌がっていいぞ」

 行きの車の中でさんざんメイリのキャラ設定のレクチャーを受けたのを忘れていた。
 友崇は嫌がれば嫌がるほど喜ぶのだ。
 だからといって素直に身をゆだねる気にはなれない。

 友崇の手はおれを的確に追い上げていった。
 すっかり友崇によって高められた自身は、先走りを流して喜んでいる。
 絶妙な強弱をつけてしごかれ、ときどき意地悪するように先端に指を立てられる。

「はあっ、あ、んんっ……」
「体は素直なのにな」

 そのうち手の動きに合わせて水音が鳴るようになって、おれはいたたまれなかった。
 だが口からもれる声は押さえられないし、早く達したくてたまらない。
 指の腹で裏筋をなでられると、身をよじって自分のものとは思えない高い声を上げた。

「ああ……! や、もう、だめ……」
「いきそう?」
「あっ、んあ……やあっ!」

 おれのものをしごく手が急に早くなって、おれはあっさりと陥落してしまった。
 おれは脳天を突きぬける快感を味わいながら、喉をのけぞらせて友崇の手に欲を吐きだした。
 足が小さく痙攣して、口から唾液が一筋流れた。

「はい、お疲れ」

 口元にこぼれた唾液を友崇の手がぬぐった。
 それがその夜に覚えている最後だった。


   ◇



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あきゅろす。
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