[携帯モード] [URL送信]

ブルー・デュール
桜 常 編

28

 おれは後部座席に横たわり、目を閉じて悟りを開こうとしていた。
 体が熱くてたまらない。
 体を抱くようにして腕をまわし、気をそらそうとするがうまくいかなかった。
 時間が経てば経つほど苦しさが増していく。
 閉じた両足をこすってみたり深呼吸してみたりするが、状況は一向に良くならなかった。

 学校に着いたらしく、友崇はエンジンを切ってドアを開けた。
 おれも出なければと体を起こそうとしたとき、後ろのドアが開いて友崇が入ってきた。
 友崇は後部座席に体を押しこむとドアを閉めた。

「おい、りゅう、こっち向け。お前戻ってからずっと変だぞ?」

 おれは背もたれと向き合って横になったまま首を振った。

「なんでもない。降りるからそこどいてくれ」
「なんでもないならこっちを向け」

 友崇の手がおれの肩をつかみ、強引に仰向けにさせられた。
 無表情の友崇と目が合って、これ以上は隠し通せないと思った。
 おれの顔はほてっているし、目がうるんで友崇が少しぼやけて見える。
 友崇はおれに馬乗りになるようにして顔を近づけた。

「……なにか飲まされたのか?」
「ち、違う」
「じゃあなにされたんだ。言ってみろ」
「なにって……」

 体がおかしくなったのはあの部屋に入ってからだ。
 智親に手を引かれてベッドに寝かされ、性別がばれたので眠らせようとしたが、
そのときにはすでに頭がぼんやりしていた。
 覚えているのはあの乾いた指の感触と、薬草を大量に煮詰めたような息苦しいほど強い香り。

「あの匂い……あれ嗅いでから変になった、かも」
「ふうん、匂いか」

 友崇はおれの額にかかった長い髪をつまんで脇にどけた。
 友崇の口がゆっくり開かれる。
 おれはその中でうごめく舌の動きを目で追っていた。

「それで欲情してるんだ?」

 友崇の膝がおれの足を割って中心を押し上げた。
 大げさなくらい肩がはねた。
 おれはさらに顔に熱が集まるのを感じた。

「しょうがねえだろ、おれのせいじゃねえっ!」
「そうだな、あのエロ親父の嗜好のせいだな。まさかやられたのか?」
「その前に殴って眠らせたってば」
「よかった」

 友崇はのんきに笑っているが、おれの中心を膝でぐいぐい刺激するのをやめようとしない。



*<|>#

5/13ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!