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ブルー・デュール
桜 常 編

125

「おまっ、それって!」
「うるさい。今は俺に集中しろよ」

 なんたる言い草。
 これが好きな人にすることか。

 鳴瀬はスラックスと下着を脱ぎすて、おれの秘部に猛ったものをあてがうとひと思いに突き刺した。
 指なんて比にもならない質量に奥まで突かれ、喘ぎ声が押さえきれない。
 おれは口端から唾液をたらしながら、鳴瀬の動きに合わせて声をあげた。

「あう、ああっ、いっ……ひああっ、あっ」

 両足を鳴瀬の肩に担がれ、腰が少しベッドから浮いた。
 肉のぶつかりあう音と、ローションの水音が混ざり合って部屋に響いた。
 ローションのせいか、ちくちくと痛むような快感がひっきりなしに襲ってくる。

「あ、やんっ、はあっ、あっあ……」

 自身からは白濁混じりのものがだらだらと流れていく。
 中が鳴瀬でいっぱいでどうしようもなく感じてなにも考えられない。

 鳴瀬は熱い吐息をもらしながら、一心におれを追いあげていく。
 おれはもうずっと達しているような心地だった。
 強すぎる快楽はかえって辛い。
 涙がぼろぼろこぼれていき、それに気づいた鳴瀬がかがみこんで目尻をなめた。

「あっあっ……や、ああっ」
「っはあ……お前の、顔、やばいな……」

 鳴瀬の声が霞がかったように遠くから聞こえる。
 よく聞こえなくて、何度か瞬きして視界をクリアにしてから鳴瀬を見ると、
色に溺れきった目と視線がかち合った。
 そのとたん、中を行き来する鳴瀬のものがどくりと脈打った気がした。

 痛いほどに張りつめたおれの自身を、鳴瀬の手が捕えた。
 熱い手の平に包みこまれ、先走りやらローションやらでどろどろのものを思いきりこすられた。

「ああああ……!」

 背中がのけぞり、鼻を抜ける声は自分のものとは思えないほど高かった。
 おれは鳴瀬の手の中に欲を吐き出し、鳴瀬もおれの中に熱いものを叩きつけた。

「あっ……はあ……」

 苦しいほどの熱が少しずつ引いていく。
 だが鳴瀬はまだまだ平気そうな顔をしていた。
 真上でにやりとほくそまれた。

 今夜は長い夜になりそうだ。

 おれは鳴瀬の首に腕をまわし、キスをねだった。
 とろけそうに優しいキスをもらい、おれは好きな人とひとつになれる幸せをかみしめた。



 この幸せも、ほんのひと時のものだとわかっている。


 だが、今のおれにとって、このひと時は永遠だった。




 END


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