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サビイロ契約

92

 珂月はもごもごと言葉にならない文句を呟いた。
 ルザは珂月の言葉を黙って待っている。
 珂月はちらりとルザを見上げ、頬を赤らめながら言った。

「る、ルザの……で……」
「うーん……ま、かわいいからいいか」

 少し不服そうだったが、ルザは小さく頷いて珂月に口づけた。
 舌を絡ませ合い、唾液が混ざって水音を立てた。

「あ!」

 唐突に後ろの入り口を指先でなでられ、珂月は体を固くした。
 期待と困惑がないまぜになり、どんどん鼓動が速まっていく。

「んー……」

 ルザはなにか言いたそうだが口にしようとしない珂月を眺めて言った。

「やっぱり、まだまだだな」
「な、なにが……」
「もっと素直になれよってこと。いつになったら俺がなにも言わなくても俺のが欲しいって言うようになるんだろ……」
「そんなときは来ない」
「へえ? そうかな? そのうち言わせてやる。俺にだけ従順なかわいいペットにしてやるからな」
「ペットって」

 珂月はむっとしてルザを半眼で見上げた。

「恋人に言う台詞かよ」
「いいだろ別に。お前は俺が守ってやるんだから、お前はなにもする必要ねえ。俺に全部任せときゃいいんだよ」

 頼もしいようで自分勝手な言い分に、珂月は苦笑した。
 確かに珂月はルザに守られて生きているが、ルザは人間の社会に入ることはできない。
 珂月が町の人々とうまく付き合っているから、今こうしてのんびり暮らしていられるのだ。
 お互いの力があってこそ、今の暮らしがある。

「うん、感謝してるよ」

 珂月は柔らかく笑ってルザのうなじに手を置き、頭を持ち上げて触れるだけのキスをした。
 ルザはいつものように口角をつり上げて笑った。

 ルザはベッド脇のチェストに置いてあった丸いチューブ状の容れ物を手に取った。
 それはルザがどこからか持ってきた潤滑ジェルで、珂月はつばを飲みこんだ。
 ジェルには感度がよくなる作用があり、体が覚えてしまっていて否が応でも期待してしまう。

 とろりとした冷たい液体をまとった指に侵入され、珂月の背筋を快感が駆け昇った。

「あはっ、あ、んっ」
「これ好きだよなーお前……」

 ぐぷぐぷと鈍い水音を立てて指を抜き差しされ、珂月は甘い声であえいだ。
 ルザの背中に爪を立ててすがりつく。
 最初は違和感があるが、すぐにとろけそうな快楽の渦に溺れていった。

「ひ、んっあっ……や、あ!」

 一番感じる部分を指で強くこすられ、珂月は目の前が真っ白になった。
 軽く達してしまったようで、自身から白濁が散った。

「感じた? ここだよな、お前の弱点」
「ああっあっ、だめ、だめっ……」
「わかってるよ」

 ルザは笑いながら言い、指を二本根元まで突き入れた。
 入り口を広げるように何度も突かれ、珂月はひっきりなしに声をあげる。
 たまらなく気持ちよくて、たまらなくルザが欲しくなる。

「ん? なに?」

 珂月の頭の脇に手をついて上体を支えるルザの腕を、珂月の震える手がそっとつかんだ。
 ルザがかがみこんで優しく問うと、珂月は荒い息をはきながら快楽に溶けた目で訴えた。

「はやく……」
「……はいはい」

 ルザの唇が弧を描いた。

 ズボンの前をくつろげたルザは、秘部を蹂躙していた指を抜いて灼熱をあてがった。
 珂月の両足を大きく開かせ、濡れてひくつく秘部にひと思いに突き刺した。
 ジェルのおかげでなんの抵抗もなく全て奥まで入りこみ、珂月は高い声で啼いた。

 卑猥な水音を立てて律動が繰り返される。
 最奥を叩かれるたび、珂月は甘い声をあげた。

「あっ! あっあ、やんっ!」
「珂月……」

 ルザは目を細めて珂月の痴態を眺めた。
 白い肌を赤く染め、ルザに全てを預けてあえぐ姿は淫らで、男を誘う香りがした。

「珂月……」

 ルザは律動を止めないまま、珂月の右胸に広がる印に唇を寄せた。
 首筋の噛み痕にも、唾液に光る唇にも同じようにキスを落とす。
 珂月は口づけられるとルザの唇を舌でつつき、深く交わることをねだった。
 珂月はキスには積極的だった。

「ん、ふっ……んん」

 キスを交わしながらもルザは動き続け、珂月はじわじわとやってくる絶頂感に体を震わせた。
 ルザは珂月が達しそうなのを察し、一度自身を引き抜くと珂月をひっくり返して四つん這いにさせた。


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あきゅろす。
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