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サビイロ契約

91

 ルザは珂月をベッドに座らせ、足の上にのしかかって珂月の背中に腕をまわすと首をつかんで傾けた。
 白い首筋に唇を這わせ、噛み痕に口づけてからそっと牙を立てた。

 一瞬の痛みのあと、珂月は生ぬるい心地よさを感じた。
 血を吸われる感覚はすっかり甘美なものとなり果てている。
 ルザに全身を預け、うなじにルザの吐息を感じながらのその行為に、珂月の体は悦んだ。

「ん……」

 珂月がぴくりと体を揺らすと、ルザは吸いついたまま目を眇めた。
 首をつかんでいないほうの手で珂月の中心に触れると、そこはすでに熱を持ち始めていた。
 ルザは首筋から顔を離して、恥ずかしそうにうつむく珂月に囁いた。

「血ぃ吸われて感じた?」

 珂月はいたたまれず、ますますうつむいた。
 血を飲んだあとは必ず抱かれるので、噛みつかれただけで体が反応するようになってしまった。
 すっかりルザの色に染まった珂月に、ルザは血のついた唇をなめて満足げに笑った。

「……したい?」

 睦言のような低音を吹きこまれ、珂月は少しためらったが小さく頷いた。

 すぐに押し倒されてズボンと下着をはぎ取られ、生まれたままの格好にされる。
 両足を割ったあいだにルザの体が入りこみ、二人は見つめ合った。

 珂月はルザのペンダントを引っぱり、キスをせがんだ。
 ルザは珂月の半開きの唇に厚い舌をねじこみ、珂月の舌と絡ませた。
 珂月は鉄くさいキスに慣れきっていて、目を閉じてルザの舌の動きを追った。

「ひゃんっ」

 忘れかけていたところに自身に触れられ、珂月は変な声をあげてしまった。
 大きな手の平に包まれて直にゆるゆるとしごかれ、どんどん熱が膨らんでいく。

「はあ……あっ、ん」

 たかぶる自身ははしたない液を垂らし、ルザの手の中でくちゅくちゅと音を立てている。
 珂月は気持ちよさに体をよじり、シーツを蹴った。
 声が押さえられず自分の腕を噛むと、ルザの手が伸びてきて離させられた。

「声我慢すんなよ」
「だ、って……恥ずかしいってば……ん、あ」
「俺たちしかいねえだろ。それにもう誰も聞いてねえよ」

 盗聴器を引き合いに出され、珂月は余計に恥ずかしくなった。
 少し前まで最中の声を五十井に聞かれていたなんて、穴があったら入りたいくらいだ。
 ルザは真っ赤になる珂月を楽しそうに眺めた。

「気持ちいい? もっとしてほしい?」

 真上から言われ、珂月は顔がほてってくるのを感じた。
 この前ルザは、珂月が羞恥と戦いながらも快楽に負けてねだってくるのを見たいと言った。
 以前よりはずいぶん素直になった珂月だが、それでもいやらしいことを口にするのははばかられる。

 珂月がふいと横を向くと、ルザはにやにやしながらゆっくりと珂月のものをしごいた。
 珂月のいいところを押さえつつ、決定的な刺激は与えない。
 生殺しのような状態に、珂月は熱い息をはいて切なげに眉根を寄せた。

「あ、んあっ、あっ」
「やらしー顔。見ろ、もうこんなに濡れてる」

 ルザは珂月の顔の前に右手を突き出して見せた。
 珂月の自身からあふれた蜜で、午後の陽ざしにてらてらと光っている。
 珂月は見ていられなくて逆側に顔をそむけた。

「んだよ、素直じゃねえなあ」
「うるさいっ」
「へー。そんな口聞くわけ」

 ルザは面白くなさそうに言うと、濡れた先端に指の腹を往復させた。
 弱いところを刺激されて珂月は喉をのけぞらせてか細い声を上げた。

「辛そうだなあ。もっとしてほしいことがあるんじゃねえの? 言ってみろよ」
「べ……別にっ……んっ」
「ほーら、言わねえとこのままだぞ」

 ルザは珂月の自身をぴんと指ではじき、大きな手の平で包みこんだが動かそうとしない。
 その状態で珂月の胸に舌をはわせた。
 ぷっくりと立ち上がった突起を舌先でつつき、吸ってやると手の中の珂月のものがぴくりと震えた。

「んんっ……は、う」

 胸の飾りをなめられると気持ちいいが、それだけでは達せない。
 珂月は下唇を噛んで葛藤をくり返した。
 早く達してしまいたいが、いつもこんな恥ずかしい思いをしたくはない。
 珂月が折れれば、ルザは味をしめてさらにエスカレートしていくに違いない。

「ほら、珂月」

 焦れたルザは珂月の耳を弱く食んだ。
 珂月が耳が弱いことをルザは十分承知している。
 珂月はびくりと肩を震わせ、ルザを睨んだ。

「わっ、わかったよっ。い……いかせて……ほしい」
「どうやってイきたい?」
「どうって……」


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