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サビイロ契約

48

「どこがいいんだ?」

 ルザは珂月の耳の裏に唇をつけ、珂月の背中をすっとなでた。
 そのまま腰まで滑り下り、丸みをおびた双丘にたどりついた。
 形を確認するようにもまれ、珂月は身を震わせた。

「中っ……も、熱くてどうにかなりそう……っ」
「中? 中をどうしてほしいんだ?」
「ゆ、指でっ……かきまわしてっ……」

 ルザは珂月のうなじにキスを落とし、言われたとおり中に指を一本入れた。
 珂月が出したもので秘部もルザの指もべとべとだったので、指はあっさり吸いこまれた。

 一気に根元まで突きいれられ、珂月はまたしても耐えがたい快楽の波にのまれ、量の減った白濁を滴らせた。

「あっああっ! う、はあ、んんっ」
「きゅうきゅうしてるぜ、中。くわえて離さないし、熱くて溶けそうだ」

 卑猥な水音を立てて中をかきまわされると、珂月はシーツに爪を立ててよがった。

「ひあ! あうっ」
「気持ちいいか?」
「あ、あ……うん、いいっ、よ……」

 珂月はひっきりなしに甘い声をあげながら、こくこくと頷いた。
 か細い声で、もっと、と呟き、それを聞きとったルザはもう限界だった。

「あー、お前、かわいすぎる。たまんねえ……」

 ルザははやる気持ちを抑えきれず、珂月の秘部から指を抜くと、誘うようにひくつくそこに猛った己のモノを突き刺した。
 まだ指一本しか入れてなかったのに、薬でとろけきった秘部はルザのものを嬉々として飲みこんだ。

 突然挿入されて電流のような快感が体中を駆け巡るのを感じ、珂月は傷の残る喉をのけぞらせて喘いだ。
 すっかり体の力が抜けてしまい、腰だけをあげたまま枕に突っ伏した。
 ルザは珂月の体の両脇に手をついて、乱暴に腰を振り立てた。

「は、あっあっ、ひゃあっ! んっんんっ」

 ぎしぎしとベッドが軋む。
 荒い息が二人分、狭い部屋を満たした。
 ルザが動くたびにシーツに胸の突起がこすられ、痛いほどに気持ちがよかった。

 ルザのものが中のいいところをこすると、珂月は立ち上がりっぱなしの自身から透明度を増した白濁を散らした。
 いきっぱなしの状態が続き、珂月はもうなにがなんだかわからなくなった。

 欲望のままゆすられ続け、ルザが内部で達すると、珂月はぐったりとしたがまだ足らなかった。
 疲れ果てているのに、熱はとどまるところを知らなかった。
 ルザは珂月の体を仰向けにし、足を抱えて再び動き出した。
 珂月の意識が飛ぶまで、行為は続けられた。


   ◆


 翌朝、珂月の目覚めは、沼の中から這い上がってきたかのように重苦しいものだった。
 夢も見ず深く眠っていたはずなのに、ちっとも清々しい気分になれない。
 手足が鉛のように重かった。

 散らかった部屋にはルザの姿があった。
 珂月は目を疑った。
 やることさえやればさっさと帰っていたルザが、珂月が目覚めてもまだいるなんて初めてのことだ。

 ルザはクッションに腰かけてローテーブルに頬杖をつき、シンク・ベルのスケジュールが書かれた書面を眺めていた。
 珂月が目を覚ましたことに気づくと、書面をテーブルに置いて珂月のほうを向いた。

「よお。調子はどうだ?」

 ルザは整った容貌に似合ったさわやかな声で言った。
 寝ぼけていた珂月は、ルザの笑顔を見て瞬時に昨夜のことを思い出した。

「……最悪だ。体が重い。動けない」
「声枯れてるな。あれだけ喘げば当たり前か」

 しれっと言い放つルザを、珂月は半眼で睨んだ。
 ルザはベッドのそばまで歩いてくると、ベッドヘッドに手をついて珂月の顔を覗きこんだ。

「今日がちょうど休みでよかったな。ゆっくり寝てろよ」
「誰のせいだと思ってんだ……こんなんじゃ日常生活もできないよ。責任とってお前が世話しろよな」
「はいはい」

 ルザは笑いながらあっさり了承した。
 どうせ断られるだろうと思っていた珂月は、ルザの答えに唖然とした。

 もしかして、珂月の身を労わって、まだここにいてくれているのだろうか。

 だが珂月には、ルザが見返りなしで親切にしてくれるとは到底思えなかった。
 またいかがわしいことをされては困る。
 今度こそ体が壊れてしまいそうだ。

「……いや、やっぱり帰っていいよ。忙しいんだろ」
「なんだよ、いてほしいのかほしくないのか、どっちだよ」

 ルザは子供を寝かしつけるように珂月の頭をなでた。
 その手があまりに心地よくて、珂月は再びまどろみの中に落ちていった。
 珂月が瞼を下ろすと、ルザはそっと音を立てずに立ち上がり、キッチンへ歩いていった。



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