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サビイロ契約

109

 それから数日、珂月は斎珪の屋敷から一歩も外に出してはもらえなかった。
 戸を叩いてトイレに行きたいと訴えれば、二人の男のどちらかがやってきて厠に連れて行ってもらえたが、寄り道すらさせてくれなかった。
 間違っても玄関に近づけさせまいとしているようだった。

 食事は一日三回、きちんと取らせてもらえた。
 しかし内容はいつも似たり寄ったりで、肉がほとんどなく、まだ食べ盛りの珂月には辛いものがあった。

 斎珪の思惑はわからないままだった。
 珂月を閉じこめて反抗心をなくそうとしているのか、なにか企んでいるのか、珂月は暇な時間をもんもんと考えて過ごした。

 斎珪と再び顔を合わせたのは、珂月が閉じこめられてから一週間ほど経ったあとだった。
 日が暮れ、夕飯も済んで布団の中でうつらうつらしていたところに、不意に戸が開いて斎珪が入ってきた。
 ようやく状況が進展するのかと珂月は少しほっとして布団から這い出した。

 斎珪は布団の上に座る珂月のそばにすっとかがみこみ、珂月の白い頬に手を添えた。
 そのまま顔を近づけられ、珂月はぎょっとして顔をそむけた。

「ちょっと……や、やめてくださいっ」
「俺に逆らうのか? 俺は斎珪だぞ。この村は俺に絶対だ。お前、俺の一言で村の連中にどんな目に遭わされるかわかってないな?」

 珂月はぐっと押し黙った。
 なにも知らない村人の盲目ぶりは見て知っている。
 彼らなら斎珪に言われれば、よそ者の一人や二人、巴蛇と同じ扱いをしそうだ。

「お前は大人しく俺の言うことを聞いていろ。俺の言うことは絶対だぞ」

 斎珪はそう言って珂月に口づけた。
 閉じられた唇をなめ、顎をつかんで無理やり口を開かせる。
 珂月は眉間にしわを寄せたが、両腕はだらりと垂らしたままで抵抗はしなかった。

 斎珪のキスはねちっこかった。
 口腔を熱い舌で味わうようになめ、珂月の舌を捕えて吸っては絡めてをくり返した。

 口づけながら斎珪の膝が珂月の股間に押しつけられ、珂月はもぞもぞと動いて無意識のうちに背後に逃げようと試みた。
 だが斎珪に胸を押され、布団の上に倒されてのしかかられてしまった。
 斎珪はしつこく珂月の舌を吸いながら、膝でぐいぐいと珂月の自身を刺激した。

「う……んっ」

 珂月が身をよじると、斎珪は口を離して珂月の顔をぎらつく眼差しで見下ろした。
 珂月のシャツの中に手を突っこみ、淡い飾りを指でつまんでこねまわす。
 閉じられた珂月のまぶたがひくつき、斎珪は珂月の口元で囁いた。

「ずいぶん開発されてるみたいだな……? いい体だ、俺がもっと淫乱にしてやろう」
「んぁ、んん……」

 珂月がか細く啼くと、斎珪は荒い息をはいて己の服をいそいそと脱ぎ出した。
 そのあいだも膝で珂月のものを刺激するのは忘れない。
 珂月は否応なく快楽を引き出され、下半身に熱がこもっていくのを感じた。

 斎珪の手で珂月も服を脱がされ、最後に下着を下ろされると立ち上がった自身が顔を出した。
 斎珪は珂月の自身を手に取り、先走りを塗りこみながら上下にしごいた。
 珂月は下唇をかんで声をこらえていたが、久しぶりの刺激にすでに陥落寸前だった。
 このような場所に閉じこめられ、自慰などする気になれなかったのがあだとなった。

「あ、あんっ、ひゃうっ」
「俺の手はいいだろ? 珂月……」

 次第に水音が部屋に響いてきて、珂月は真っ赤になった。
 だんだん追いつめられ、珂月の嬌声が甘さを帯びていく。

「あっあっ! やあっ! んぁうっ」

 珂月は足を震わせ、限界を迎えようとしていた。
 しかしあと少しで達しそうだというときに、斎珪は自身の根元をぎゅうと握った。

「いたあっ! やっ、なにっ……」
「まだだ、我慢しなさい」
「やだやだっ、むりっ……」

 珂月は何度も首を振ったが、斎珪は達するのを許してくれなかった。

 会陰に冷たいものがかけられ、珂月は閉じていた目を開けた。
 小窓から差しこむ月明かりの中、斎珪は洗礼のときに使った小さな小瓶から、透明な液体を珂月の局部に少しずつ垂らしていた。
 珂月はさっと青くなった。

「ちょ、それっ……」

 斎珪は珂月と視線を合わせるとにやりと笑い、中身の半分ほど減った小瓶を机に置いた。

「これがないと物足りないだろう?」

 斎珪は珂月の会陰に手をはわせた。
 とろりとした液体のせいで珂月はすぐに体がほてってきた。
 斎珪の手はするりと後ろに伸び、人差し指がぬめりを借りて後ろのすぼまりに挿入された。
 珂月はぴくりと足を震わせ、慣れた刺激に高い声をあげた。

「はああっ……あ、んっ」

 くちゅりと卑猥な音を立てて人差し指が抜き差しされる。
 中のいいところを指先がかすめるたび、珂月はびくびくと反応した。
 次第に珂月のいいところがわかってきた斎珪は、わざとそこの周りばかりを刺激した。
 珂月はもどかしい感覚に腰をくねらせ、斎珪をあおった。


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