月の綺麗な夜に。A
コロネロはボールを拾い上げた少年を知っている。
沢田綱吉。通称ダメツナ。
一度も同じクラスになった事は無いが、綱吉にはいつも見目好い少年二人が狛犬の様に張り付いて騒いでいるし、コロネロの腐れ縁で悪友のリボーンも近頃彼に何かとちょっかいを出しているものだから、嫌でも目につく。
だから、ダメツナとは真逆の位置に当たるコロネロも、綱吉の事を知っていたのだ。
…知っている、けれど。
コイツは本当に普段ダメツナと称され、馬鹿にされている少年なのだろうかと、コロネロはじっと綱吉を見つめた。
月明かりに照らされて、ふんわりと煌めく茶金の髪。
いつもかったるそうに伏せられている琥珀色の瞳も、今は淀み無くこちらを見据えている。
その一対の黄玉(おうぎょく)に、コロネロは不覚にも目を奪われてしまった。
綱吉自身が、月明かりを受けて淡く輝いているようにさえ見えた。
同じ年の、まして男にこんな形容をするのははばかられるけれども、コロネロは素直に、この、月の光を纏った少年を、美しいと思ってしまったのだ。
→
.
無料HPエムペ!