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素敵な思い出はあなたと
 

夏休みの半ば頃、コロネロが沢田家に遊びに来た。
奈々が喜んで、コロネロの甚平まで用意して着せた。
勿論恋人であるツナも大喜び。
そんなツナは浴衣を着ていて、コロネロも内心大喜び。
ツナは奈々のお下がりの浴衣、つまり女物の浴衣を着ている。
初めはツナも嫌がったのだが、
「ツー君まだ中学生(にも見えないくらい童顔)だし、女物でも全然いけるわよ〜」
などと朗らかに言い、終いには、
「そんなに嫌なの‥?‥‥それ母さんの一番のお気に入りでね、子供ができたら絶対着せてあげよう‥って思ってたの‥‥」
なんて悲しそうに言うもんだから、ツナも折れたのだ。
そして着せられた奈々ご自慢の浴衣は、
濃紺に染めた生地に絞りが波紋のように広がり、薄紅色の蓮華が花開いている。
そしてその間を金魚が光を撒きながら泳ぐ様を金糸で刺繍された、確かに美しい浴衣だ。
「うわ〜〜綺麗!!」
つか高そう、がツナのもう一つの感想。
「お父さんと結婚が決まってツー君の遠い遠い親戚のお爺さんがプレゼントしてくれたのよ。凄く喜んでくれて、母さんも嬉しかったのよ〜」
遠い遠いおじいさん?
ツナの直感が何かを訴えたが、ツナはあえてスルーした。
「似合ってるわぁツー君!!」
満面の笑みで言う奈々に、確かに浴衣は綺麗だけど‥とツナは複雑だ。
コロネロもツナとお揃いで濃紺に染めた甚平。






 



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