海 「フレン海行きたくないか」 「えっ?」 いきなり窓からやって来た彼は突拍子もなくそんな事を言った。 「前エステル達と見てな…今思い出して行きたくなった」 「エステリーゼ様と…」 (そっか…ユーリはエステリーゼ様と…) 彼女と行ったのを思うと胸が絞められる。 ユーリは物心がつく頃には自分と居てよく遊んだ。 遊び、発見はいつも同じだった…だったのに… 「フレン?」 「!あ、いいよ。これおわれば用事ないし」 顔をしかめる自分が嫌だと感じ取ったのかユーリが心配そうに自分を見ていた。 僕は頭のモヤモヤを振り払い、彼に返事すれば楽しそうにユーリは剣を回す。 「じゃ、決まりだな。俺は先に街の入り口で待ってるから早く終わらせろよフレン」 「分かってるよ」 「ラピードも連れて来れば良かったな」 「そうだね」 「冷たっ!!」 海へと入る君は冷たさの余り驚いたが数分後は慣れたのか海で遊んでいる。 「フレンも来いよ」 「僕はいいよ。…ユーリと来れただけで」 「安いやつだなフレンは」 「ユーリに誘って貰っただけで…ユーリ?」 自分の前に影が出来、ユーリが目の前にいるのにやっと気付く。 彼は不機嫌そうに自分を見ていた。 「来いよフレン」 「えっ…うわ!ユーリ!」 手を掴まれるとそのまま海へと捨てられ自分はびしょ濡れとなる。 恨めしそうにユーリを睨めば笑われる。 「ユーリ!君は…」 「来れて遊べただけで満足」 「?」 「の方がよくないかフレン?」 「ユーリ…」 (確かにそうだけど…だからって…) 自分を海へと捨てたのは納得はいかない。 やられたままなのも嫌で僕はユーリの腕を掴んだ。 「俺だったらまだ…って…ふれ…!!」 水しぶきが飛ぶ。 彼は海へと勢いよく落ちたのだ。 濡れて不機嫌に僕を見た彼に先程のユーリみたいに笑う。 「仕返し…だよユーリ」 「フレン…テメ…やったな!」 「ユーリが先に…うわっ!」 ユーリが僕に水をかけて、反撃に彼にかけるとまた彼もと繰り返される。 繰り返していくうち海は赤く夕日色に染まっていく。 「はぁはぁ…風邪ひいたらユーリのせいだからね」 「風邪ひくように育てられてねーだろ?」 「ひくよ…あはは」 「フレン?」 砂浜に倒れこみ笑ってしまった。 僕が笑うとユーリは変な物をみるように見る。 (馬鹿みたいだな…) 先程、ユーリがエステリーゼ様と来ていたのに悩んでいたのが。 (最初にエステリーゼ様と来ていても僕らはこんなに…) ユーリの方へと顔を移動させた。 黒いユーリの髪は砂に沈んでいて彼の頬にもついている。 ――近いのに… 「ユーリ」 「なんだよフレン」 「また来ようね。二人で」 「…そうだな」 ユーリは起き上がり答えてくれた。 僕も立ち上がり夕日を眺めた。 end |