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Rainbow
6
ブラインドを閉めたままの仮眠室。
昼間だと言うのに仄暗い。
じたばたとついてきた身体は仮眠室のドアに押さえ付けた。
そういうことに対しての免疫が無いことは、かなり早い段階でわかった。
他人が触れるということに、驚くくらい敏感。
だからこそ、敢えて手を出していたわけだけど。
俺が触れても逃げないように。

顔を近付けると固く閉じられる瞼。
「ん…っ」
そういう初な反応は男を煽ると理解してないのだろう。
「口開けな」
撫でるように重ねた唇を離さずに囁けば、跳ねるように震える肩。
ぎこちない動きで開いた唇の間から舌を突っ込んでやる。
「…っ、ン…んんっ」
逃げようとした舌はねっとりと舐めながら絡める。
そうしてやると、ヒクヒクと小さく反応する背中。
一度、箍が外れてしまえばぐずぐずになるような気もするが。
誰とも付き合ったことがない。
もちろん触れ合ったこともない。
まっさらな体を穢すのは、もう少し先でもいいような気がする。
そんな相手のペースに合わせるなんて初めてのこと。
やりにくさは感じず、いやに満たされた気持ちに苦笑いをしてしまう。
ゆっくりとかき混ぜるように舌を旋回させる。
絡み付いた唾液を飲み込むと小さく息を飲んだのがわかった。
「紗季」
「ん、…ンふ…にゃっ」
「…」
思わず、といった風に漏れた声は何かをプチリと切るには十分だったようだ。
「ふぁ…ぁ……やぁ…ぁんっ」
細い顎を掴んで上を向かせると激しく抽挿を繰り返す。
まだしたことはない、まるっきりセックスを模したような動きに腕の中の身体が震える。
「やっ、ゃ…あ!まっ、待って」
捩じ込んだ足の間をぐりぐりと擦り上げたら顔を振ってキスから逃れた。
「…んだよ?」
真っ赤になった顔。
顎を掴んでいた指を頬に滑らせるといつもより数段熱い肌を感じる。
「こんなとこ、やだ…から」
「ここじゃなかったら、いいのか?」
「そゆことじゃあ、ないけどぉ…」
うろうろと動き回るグリーンの瞳。
「でも、あの」
足の間から抜いた膝。
その拍子に跳ねた肩を軽く叩く。
「かいちょー?」
「戻るぞ」
あっさり引いたことに驚いたのか、俺をじっと見る。
連れ込んだ時と同じように手を引いて仮眠室から出た。
「仕事するぞ」
「…うん」
振り向いて確認した姿は俯いていて、真っ赤に染まった耳朶しか見えなかった。





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