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Rainbow
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相澤紗季はとにかく目立つ。
外部入学だったこともあるが、それだけなら騒がれても入学から1ヶ月もすれば沈静化する。
しなかったのはこの閉鎖された空間にある独特の慣習と、相澤紗季のキャラクター故だろうと思う。

遠目であっても目立つ金色のように明るい茶色の髪。
グリーンの瞳。
外国人顔というわけではないのに、違和感がない。
ピアスが複数ぶら下がる耳朶。
お気に入りは特に無いのか頻繁に変わる、らしい。
弛く締められたネクタイと開いた胸元にはシルバーのネックレス。
覗く肌は白いのに透明感があるとか?
スッキリとした鼻筋と綺麗な二重に縁取られたこれまたスッキリとした瞳とうっすらピンクかかった唇。
男に言うのも変なもんだと思うけれど、文句のつけようがない美人。

それから…
細い肢体に細い腰。
緩められたように笑う顔からは遊び慣れたような空気が漂う。
どちらかと言えば『抱きたい』『支配したい』と思われる部類のはず。
それにもかかわらず親衛隊の構成は可愛い系が大多数なのは、平均ほどある身長と遊び慣れた雰囲気に助けられているのかもしれない。







†††






「桜の下、ですか?」
怪訝な表情をしたのは書類を持ってきた風紀委員。
「あの辺りのパトロールを強化…と伝えるんですか?」
何故だ、と納得いかない表情だ。
もちろん今だってパトロールを行っているのは知っている。
「何度も言わせるな」
「しかし!」
目を通していた書類から風紀委員へ向ける。
「あそこは相澤紗季の寝床だ」
「え?」
理解できなかったのか、動きを止めた。
「相澤紗季が頻繁に寝ている場所だ、と言ったんだ」
あ、と口を開けると慌てて頭を下げる。
そこまで言って自分が何を言われたのか理解したらしい。
「委員長に報告しますっ」
勢い良く頭を下げてバタバタと退室していく後ろ姿に溜め息を吐いた。
「珍しいね?」
ぐいっと肩に乗る体重にもう一度溜め息を吐く。
「別に」
「そーかなぁ?蓮麻がわざわざ風紀に見回り要請するなんて、さ!」
「何かあってからじゃ、後味悪いんで」
「まーぁね〜。相澤くん、ここで生活するには無防備すぎるからね」
その通り。
「外部生だから仕方ないけどね」
「会長、仕事が出来ません」
「うわ…っ、蓮麻つめたいっ!!」
騒ぐ会長は放置して作業を再開した。



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