ぷよ7ネタまつり
大クルーク+大エコロ
きぅ、現れたその模倣体にクルークは静かに目を細めた。流された髪が赤い空気を纏って揺れる。かつり、踏み出すと同時に一歩なった靴音に対し、向かいの同じ顔からはなんの足音もしなかった。

「あれぇ?なんか雰囲気違うねぇ?」
「それはそちらも同じだろう。前はどこぞの肉体の中では無かったか?」
「なに?前会ったとき気づいてたの?性格悪くない?」
「生憎その時は表に出ていなかったのでな」

ぱたん、言うと同時にクルークは手にしていた本を片手で閉じる。同時に漏れた紫の影に、向かいのクルークの姿をした影は小さく鼻を鳴らす。

なるほど、自分はあのアルルという少女の肉体を借りて世界に具現化していたが、要するにこの男も。

「……同類?」
「一緒にするな集合体が。我はこの本を媒体に身体を借りているだけだ。貴様と違って本体は別にある」
「ふぅん…」

クルークの反論に対し向かいの影は軽く頷いただけでそれ以上の反応は見せなかった。
理解などどうでもいいのだろう。

「なぁんだ、せっかく次は君の身体借りて遊ぼうと思ったのに」
「……だから模倣を?」
「うん、なんか最初アルルちゃんの中で君を見たとき、良さそうだなって」

思ったのに。言うと影は形を変えて巻き毛の少女の姿に変わる。
自在に姿を変えられるのは即ち自己の不確立だ。この生き物が気に入っているらしいこの少女は、かなり意志の確かな少女だったと思うが。

だからこそ、惹かれているのだろうか。
では同時に何故この身体…クルークに興味を持ったのか。

(まぁ、どうでもいいが)

クルークに体を借りている魔物は考えながら視線を外した。すると影が不意に、笑った。

「……君の身体、具合良さそうだと思ったんだけど、それは先客がいるからかな」
「……なんだと?」
「乗っ取り安い身体だと思ったのは、あなたがいたから?」
「たわけ、我は貴様とは違うと」
「なんで?ヤってることは同じでしょ」
「………貴様…!!」
「怖い顔しないでよ、ボクはキミと仲良くしたいだけなのさ☆」

くすりと笑った影に魔物は明らかな不快を示した。
何を考えているか理解できない。むしろ何も考えてなぞいないよう、な。

中身がない。主体がない。そんなモノに親近感を抱かれるのは不愉快だ。

クルークは踵を返す。影は笑った。

「あれ?遊ばないの?」
「貴様との馴れ合いなど私はごめんだ」
「なんでぇ?」
「論ずる必要性に欠ける」

終わりだ。それだけ言うと魔物は意識をクルークに返した。これ以上中身の無い会話など、したくはなかった。




(あんな何も考えていない生き物と自分が同じであるわけがない)
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エコロ大の見た目はクルーク。乗っ取り同士仲良くならないかなぁと思ったけどむりでした。

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