君、死に給う事無かれ
(気高さは醜さを携えて)

【三番隊隊士××××、××××、並ビニ、七番隊隊士××××、以上三名ニ切腹ヲ命ズ】

それが、その日屯所を巡った一番大きな知らせだった。

「シェゾ!!どういうつもりだ!!」
「どうって…まんまだよ、3名切腹」
「そんなことわかってる、俺が聞きたいのはどうしてって…」
「先日の警護の際に隊の規律を著しく乱す行動をした、それ以外に何が?」
「何、って…」

淡々と告げた、相変わらずのシェゾの堂々とかつ横柄な態度にカミュは押し黙る。
そもそもシェゾにそれ以外と言われたが、実は何も説明されていない。隊の規律を乱す行動、そんなもの具体的に何だと言うのだ。

過去にも、敵前逃亡などでシェゾが腹を切らせることはあった。だが作日の警護はたしかただの見回りで、戦闘も人死もなかったと聞いている。
それなのにそんなことをする理由なんてカミュには思い付かない。

シェゾは意志を変えるつもりは無いらしく淡々とした瞳で自分を睨むカミュを見つめている。軽く鼻で笑ったのをきっかけにカミュがもう一度詰め寄ろうとしてその胸倉を掴んだ。

ぎり、と。それでも顔を一瞬しかめる以外にシェゾは表情を動かさない。

「お前…!!」
「異論があろうと無かろうと…」

その時気付いた。





シェゾの、口の端が不自然に切れている。両脇の端、ちょうど付け根付近から横に一筋、小さく。左右ほぼ均等についたそれは、普通につくようなものではない。
大体通常口の端を切ると言うときは片方だけである。両方均一に、しかも刃物をあてたように一筋。それはまるで。

口に、刃物でもくわえていたような。





(しかも、自分側に刃?)





嫌な予感がする。カミュは掴んだ彼の襟元に視線を移す。

普段着崩したことの多い彼の襟元は珍しく綺麗に着込まれている。介錯のために礼装しているのかと思ったがそうではない。そうではない。

それは隠すためだ。

鎖骨に浮かんだ鬱血痕を。





「カミュ」

シェゾの手が緩やかに添えられる。揺らがない瞳は、離せと言っていた。

その手首には包帯。力の決して強くない彼が腕の保護のために晒代わりに手首を固定しているのは珍しくなかったから見落としていた。

それでも、両手首にしているのは不自然だ。普通は利き腕、刀を持つ方にしか巻いていない。

それは。

悲しいかな、ここまで来てしまえばその意図は容易に想像出来てしまう。それは。

「……何が、あった」

カミュは聞く。声が震えていた。先ほどシェゾに向けた理不尽な行動に対する怒りの矛先が行き先を見失う。

昨日の見回りのメンバーは土方と3、7、9番隊数名。自分は含まれていない。

自分は居合わせていない。その事実がどうしても悔しかった。
シェゾは瞳をそらさずに光を灯さない、だが翳りもしていないまっすぐな瞳で淡々と告げた。

「輪わされた」




彼が何の感情ひとつ込めず宣告するのが、余計に悔しかった。







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日記ログこっそり格納。
ちょっと中途半端なんですがどうにもネタがあがらなかったので。
輪姦ネタおいしいです。

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