5/28〜シグシェ
めが、あった。
いつだったか、僕の左手に興味を示した人。
「あー、変態さんだ」
「違うと言ってるだろうが!!」
変態って言ったら怒られた、けど、それだけ。それからまた左手と左目のことを聞かれた。
この人は僕に興味を持ってるって言うけど、多分違うんだと思う。
「変態さん」
「…シェゾだ」
「………シェゾ」
僕は彼に左手と伸ばした。彼の右手首を掴む。ぎり、と。そんなに力を込めなくても簡単に悲鳴をあげる彼の右手。微かに顔をしかめた彼が僕を見る。
「…お、まえ」
「……シグだよ」
この手を僕は治したい。けれどこのままでもいいとも思う。
(例えば僕がこの手を治したら、この人はもう僕に興味をしめしてはくれないだろうから)
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