5/1〜シェアル
出来るだけ守ろうと思った。



「シェゾ!!」

リンと鈴を鳴らすような声音で名前を叫ばれると同時に脇腹に鈍い衝撃。踏ん張りきれなくて2、3メートル吹っ飛んだ。

「ぐ…っ!!」

地面を滑りながら呻いた。本来なら避けられる攻撃だったのだがあえてしなかった。
その軌道の延長上に彼女がいたから。

「立てるか?」
「う、うん。それよりキミが…!!」
「平気だから、落ち着いてくれ」

戦いにおいて焦りは命取りだ。自分はまだ死ぬつもりはないし、彼女をここで死なせる気もない。
それに気付いたかうんごめんと呟いて彼女は前を見る。自分も視線を彼女から外した。

「シェゾ」
「……あ?」

しかしふいに呼ばれて振り返れば、こちらに微笑む、彼女が。

「守ってくれて、ありがとう」

ふわり暖かくそう言った。

「……魔力貰う前に死なれたら困るんだよ」
「そうだね、うん」

苦笑する彼女に応えて、今度は視界の隅に彼女を捉えたまま地面を蹴った。

せめて、この少女を。
目に入る限りは守るために。



(だって冷たい自分はきっと彼女が死んでも振り返りはしないのだろうから)



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あきゅろす。
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