14*
こうなったら……
「……こうなったらもう“あれ”をやるしかねえ」
ゆっくりと引き攣った笑みを浮かべたまま南波が顔を上げたとき、その双眸には手負いの獣にも似た切迫した光が宿っていた。
血走った目がおもむろに見下ろしたのは千明の下肢だ。
剥き出しになった秘所──
殺気すら漂う目でほとんど睨めつけるようにそこを見つめたまま、南波は片腕で些か乱暴に組み敷いた少年の腰を抱き寄せた。
身動き出来ぬよう腰骨を掌で鷲掴むや、息がかかるほど間近に顔を寄せて鬼気迫る表情で笑う。
「要は二、三回とっととイかせて、さっさとお前を寝かしつけちまえばいいんだよ、なあ、千明? 俺は絶っ対突っ込まねえぞ……いつか絶対突っ込んでやるが、そりゃ今日じゃねえ。今回は何があっても絶対に突っ込まねえ、何が何でも我慢してやる」
「ん……竜さん……?」
微かな困惑を滲ませた声音で、千明は南波の名を呼んだ。
押さえ込まれた身体がびくびくと震えているのは、別に突然、股間に向かって決意宣言をし始めた南波に戦慄していた訳ではない。
単に屹立してことさら敏感になっている大事なところに吐息がかかって、擽ったかったからだ。
昂ったものの先端を呼気が掠める度、背筋に痺れるような疼きが走る。
まるで剥き出しの神経に直接息を吹きかけられているかのような刺激から逃れようと、千明が腰を捩ろうとした──
その瞬間。
「や……ァあ!」
ふいに千明の唇から高い声が上がった。
勃ち上がった千明のものを南波が口に含んだのだ。
熱を孕んで脈打つ茎に強く口唇が吸いつき、先端の丸みを舌がねっとりと執拗に舐り回す。
「あ、っア……ん! ゃ……竜さ……!」
吐息などとは比べられぬほど強烈な刺激に、千明の背が仰け反った。
媚薬で過敏になった神経には過ぎた刺激だったのだろう。
激しい口淫から逃れようと、まるで電流でも通されているかのようにびくびくと身体を痙攣させた少年が首を振って逃げを打とうとする。
それを強引に引き戻して、南波は獰猛な唸り声を上げた。
「……オイ、てめえ、何逃げようとしてやがんだコラ。これでイくのが嫌だっつーんなら、今すぐ突っ込んで足腰立たなくなるまで犯してやってもいいんだぞ、ああ?」
どうやら少年のものを銜えた瞬間、また一本、理性の縒り糸が千切れてしまったらしい。
唾液に塗れた肉棒の先端に唇をつけたまま南波が口に上らせたのは、完全なる恫喝だった。
もっとも本当にそれを実行する気があったなら、今頃、とっくに眼下の少年を思うさま凌辱していたことだろう。
ことここに至っても、未だ理性を手放すつもりは毛頭ない。
──だが、このとき既に完全に鬼畜と化した己の言行は、もはや南波自身にさえ御しきれるものではなくなっていた。
「あと三分で失神しなかったら問答無用で犯すからな……今ここでロストヴァージンした挙句、これから先、男なしじゃ生きていけねえようなエロイ身体になるまで調教されたくなかったら、このまま素直にヤられてろ」
「っァ、あ、ああ──……っ!」
半ば脅迫めいた男の命令に、淫猥な水音と少年の悲鳴にも似た声が連続した。
口淫を再開させた南波の口腔が、舐っていたものをきつく吸い上げたのだ。
次の瞬間には、媚薬によって既に限界まで高められていた千明の身体は、呆気なく情欲を弾けさせている。
口内に放たれた青臭い粘液──初めて口に受ける他人の精を呑み下す男に躊躇う気配は微塵もない。
いや、むしろ機械的なまでに淡々と喉を動かして嚥下してから、南波は低く呟いた。
「……一回目」
「は、ァ……! ア、ん、っは……あ、っやぁ……!」
胸を喘がせる少年に、男は呼吸を整える暇すら与えなかった。
再び局部を執拗に舌で嬲り、根元の袋を肉茎ごと掴んで手荒に揉みしだく。
「っや……も、竜……は、ァ、ア……!」
達したばかりで更に感度を増した秘所を嬲られ、半ば強制的に肉体を高められる感覚は、もはや快楽の域を逸してしまっているのだろう。
弱々しく頭を振りたくりながら、千明は腰が浮き上がるほど大きく背筋を撓らせた。
きつく眉根を寄せ、眦を涙で濡らしたその表情は、快楽に浮かされているというよりもむしろ泣き顔に近い。
──だが、南波の動きは止まらなかった。
苦しげに喘ぐ少年の哀願を黙殺して、より激しく口淫する。
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