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小説
オレと女王。
(※チーグルの森)



其は、女王。
気高く、誇り高き、獣の女王。
彼女達を無事救出できれば良い。
邪魔さえなければ。






ライガの住処に到着。
一際大きな、しかし、美しい獣の女王が鎮座坐している。
ライガクイーン。
長であり、また、母でもある。

さて、『交渉する』と言ってはいたが、一体如何するのか。
道具袋の中からミュウを出し、少し離れた所で傍観中。

女王に話しかけたミュウだが、クイーンの咆哮一つで吹っ飛び、導師達に起こされていた。

傍観続行中。


「卵が孵化するところだから……来るな……と言ってるですの」

「なんて事!! 繁殖期なの!?」


襲撃犯の悲鳴じみた声。
そろそろか?

気配を消して、導師達の後ろに回り込む。


「彼らにこの土地から立ち去るように言ってくれませんか?」

「は、はいですの」


気配を消したまま、すかさずミュウの口を塞ぎ、クイーンと導師達の間に入る。


「な、ルーク!?」

「導師。先程のオレの言葉を忘れたか。弱肉強食だと」

「エンゲーブを襲うかもしれないのよ!?」

「貴様は黙れ」

「ッ!?」


導師の邪魔をしていると見たのだろう襲撃犯がオレに噛み付く。
………何も出来ねぇ上に煩ぇからテメェは黙ってろ。
ピンポイントで軽く殺気を飛ばしただけで口を閉じた。
よし。
そして導師を見やる。


「導師。貴方はこう仰った。『交渉する』と。先程の何処が交渉なのか、お教え願いたい」

「ですから、この土地から立ち去るように、と………」

「何処の地上げ屋だ、それは。この場合の交渉はライガ族に対し、代替地を提示することだ。で? 代替地の当ては?」

「そ、れは………」

「無いのか。被害者であるライガに代替地の提示も無いとは! 随分お粗末なものだ。これで交渉とは恐れ入る! ミュウ、クイーンとはオレが話す」


つい相手が導師であるというのを忘れて、『家』での討論会のような口調で導師を遣り込める。


「みゅみゅ………みゅ? はいですの!!」


ミュウは今までのやり取りを、クイーンに通訳していたようだ。
その証拠に、クイーンのオレを見る眼は優しい。


「ミュウ、ソーサラーリングを一旦外せ。クイーン、誠に申し訳無いが、御手をお借りしたい」


ミュウを拾い上げ、クイーンに一礼し、眼前へ。
ソーサラーリングを一人と二匹で持ち、真剣に話し合う。


「お初に御目にかかる、ライガクイーン。オレは、貴女の娘の家族だ。そして、我々家族の総意で貴女を助けると決めた」

「………あの娘が嬉しそうに言っていた、もう一つの家族か。解った。して、如何するのだ?」

「原因を作ったのはここに居る、仔チーグルなのだが、クイーン、貴女の存在が非常に危うい。此処が人里に近い為、討伐隊が派遣されかねん。繁殖期で動けぬと言うのであれば、オレが責任を持って別の土地を紹介しよう。此処から北の方にキノコロードという未開の土地が在る。其処ならば、植物系ではあるが餌に困る事は少なくとも無いと思う。如何か?」

「女王様、本当にご免なさいですの!! ボクはライガさん達に食べられちゃっても仕方無いことしましたの。でも、他のチーグルは関係ないですの!! 食べるならボクだけにして欲しいですの!!」

「………………」


代替案を提示するオレと、必死に謝り倒すミュウ。
そんなオレ達を見て、考え込んでいるクイーン。


「良かろう、其方の話に乗った。だがチーグルよ。其方以外のチーグルは赦さぬ。良いな?」


そう言って、クイーンはのそりと立ち上がり、咆哮を一つ上げた。
するとライガ達がやって来て、あれよあれよと引っ越し準備完了。
オレは持っていた毛布を使い、卵を包んでクイーンに。渡す際には落とさない様にとクイーンに結び付けるのを忘れない。
当座の食糧も問題だと思って、ライガ達に生肉(アックスビーク)を大量に提供。


「感謝する、あの娘の新しき家族よ。我等は其方らを忘れぬ」


颯爽と去っていくライガクイーン見ながら、助けられて良かったと心底思った。



此処からが正念場だ。
なんたって、あの無能眼鏡の相手をしなけりゃならんからだ。
スパイも居るしな。



無能とスパイ登場。


「えと……わかりました。その代わりイオン様をちゃんと見張ってて下さいねっ」


『中』の二人が冷やかに嘲笑ったのを確認。
後がコワイ………。

無能に耳打ちされて去っていったスパイ。
そして、オレの存在をガン無視して話を進めていく。

まあ良いか。本日最大のミッションは無事クリアしたし。
木に凭れながら、チーグルの住処に戻るのを確認し、移動を促される。






さて、どうなるかなー(黒笑)?
楽しみだねー(黒笑)?



'13.02.01

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あきゅろす。
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