小説
When it is possible to fly over the sky.(バカテス:康明)
もし空が飛べたら、何処に行きたい?
「ムッツリーニはさ、空が飛べたらって思った事、ない?」
屋上での昼食後、明久は空を眺めながら己の恋人に問う。
「………明久は、ある、のか?」
いつもは無表情な康太が、若干不安げに明久を見やる。
そんな康太の様子に明久は、彼にそんな顔をして欲しい訳じゃないのにと苦笑し、ある、と呟いた。
「だってさ、何処にだって行けるじゃない」
「………風に乗らないと、無理な時もある。………そもそも渡り鳥の羽根の付け根の筋肉、すなわち………」
「いや、そーゆー説明要らないから。寧ろ、お腹減るから。てか、鳥の話なんてしてないよね!?」
その後顔を見合わせて、密やかに笑い合う。
もし空が飛べたら、何処に行きたい?
「………明久が居るなら、何処へでも」
「……僕も、ムッツリーニが居るんなら、何処にだって行くよ」
此処じゃなくても。
君さえ居るなら。
其処がぼくらの楽園。
空を飛べたら
君がいる所へ、すぐに行ける
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