小説 オレと導師。 (※チーグルの森) 袖振り合うも多生の縁というけれど。 あんまり関わりたくない場合はどうすりゃいいの………。 襲撃犯が寝入った所(軍人としてどうなんだ)を見計らい。 『家』に帰ったら、物凄かった。 家族がまた増えたのだが(大人組の方に二人)、大人組は只管オレ達を心配し、お子様組は泣きじゃくっていた(特に酷かったのが意外にもアリエッタだった)。 何とか宥めすかす為に、エンゲーブ産のリンゴを使った菓子を作って振るまい、落ち着いた所でざっと状況を説明し、やっと解放(エンゲーブの宿屋へ戻る)。 横に襲撃犯。 ………寝れるかぁっ!! 襲撃犯が何時襲ってくるか解らんだろーが!! ………しょうがないので、見張り番やります。 徹夜は何て事ないので、『中』の二人には寝て貰う。 文句は受け付けん!! 朝。 導師がチョロチョロと、動き出した。 面倒だけど、後を追う。 チーグルの森の中、倒れ込んだ導師を支え、一瞬コイツ本当にシンクの兄弟かと思う。 何て言うか、宗教自治区とは言えトップとしての自覚が薄い、薄過ぎる。 だから簡単にエンゲーブや魔物の問題に首突っ込んだりするんだ。 『中』の二人も同じ感想の様で、導師に呆れていた。 導師に誰何を問われ、ファーストネームだけを名乗る。 マントきっちり着込んで、フード目深に被ってるからな。 敵国だっつーに素顔晒せるか!! 遅れて襲撃犯、合流。 怒鳴られるが無視。不敬罪がどんどん積み重なってくぞ? 「私は神託の盾(オラクル)騎士団モース大詠師旗下情報部、第一小隊所属ティア・グランツ響長であります」 名 乗 っ た よ !! 有 り 得 ね ぇ !! 「あなたがヴァンの妹ですか」 「ほぉ、謡将殿の妹御か。兄妹喧嘩に刃傷沙汰、且つ、不法侵入に殺人未遂は如何なんだ」 「は………?」 プチッとキレたオレが突っ込んでやろうとしたら、襲撃犯が曖昧に誤魔化し、導師が騒ぎの元凶たるチーグルを見付けると云う罠。 追いかけながら、チーグルの巣へと向かう。 青白い顔の導師がぶっ倒れても困るので、自分も病み上がりだと言う事を強調しつつ、導師を護衛。 オレ(レプリカとは言え)王族なんですけどー。 一応、預言に詠まれてる存在なんですけどー。 前衛に立たせるってオイコラそこの襲撃犯。殺意アリと見た。 ((姉上、可笑しいよ)) (ルー?) ((だって、この森、木の実一杯あるじゃん。チーグルって草食じゃなかった?)) ―――確かに。なればエンゲーブより肉は兎も角、果物を盗む必要性が無いな (おお、流石オレの家族! その通り、じゃ果物まで盗んだのは何故か? 答えはカンタン、自分達の食糧にしてんのさ) ((盗んだ物を!?)) ―――厚顔無恥なケモノに成り果てたか ((アリィのお友達に喰われろ)) (ルー……アリィのお友達にも好みがあると思うよ?) と『中』の二人と会話をしつつ。 どうも誘われているとしか思えないエンゲーブの焼き印の入ったリンゴを辿っていくのだった。 この後、鬱陶しい上に、更にキレそうになる事態になるんだよなー………(遠い目)。 誰かタスケテー(棒読み)。 '13.01.01 [*前へ][次へ#] |